2006年05月16日

Die Sancti Brendani

 今日はわれらが聖ブレンダンの祝日…ということで、ひとり盛りあがってみる。

 それと今日は奇遇なことに、Love Actually で名演技を披露し、最新作 Nanny McPhee にもベテラン陣に負けない存在感を出している、トーマス・サングスターくんの 16回目の誕生日でもあったり…ということはこのさい置いておきます( NYでのプレミアだかなにかの写真を見ますといつのまにかすらっとだいぶ背が高くなってました…16になるんだから当たり前か … )。

 聖ブレンダンについては本家のほうにまとめてありますので興味のある方はそちらを見ていただくとしまして(…そのうち記述の不備についてお叱りが来るんじゃないかと内心戦々恐々だったりする)、ほんとはこの記念すべき日にかねてより用意していたものがあったんですが … 先方からの許可がいただけなくてあえなくボツ。しかたないから原文リンクだけ張っておきます(世の中だいたいこんなものですね)。最初これ読んだとき、視点がおもしろくてけっこう気に入っていたので、こんどの祝日用のネタとしていちおう試訳をこさえて温存していたのだけれども…。

 ひさしぶりにあれやこれや検索エンジンを駆使して Brandon Creek とか、ゆかりの地を調べてみますとけっこう出てきます。いずれサイトのほうにも書く予定ですが、ちょうど 30年前――もうそんなに経つんだ。そう言えば自分が『聖ブレンダンの航海』にハマってからすでに 10年以上経過している…――ティム・セヴェリンがちっぽけな革舟を駆って北大西洋の荒海へ船出して、いにしえの航海記録が実証できるかどうかを文字通り体を張って挑戦した「ブレンダン号航海」で、北大西洋を横断した復元古代船カラフの現物が余生を静かに過ごしている場所の画像とか、探せばいろいろ見つかります … これとかこちらとか( ちょっと画像サイズでかすぎですね … 汗 )。

 ブレンダン一族にとっての聖所で、かつては屈強な若者が祭壇をかついで巡礼登山した、ブランドン山の画像なんかもいろいろ出てきました。山頂からの眺めなんか…まさしく絶景ですね! トラリーからディングル方面へ車を走らせる場合はコネア峠という、西伊豆で言えば船原峠みたいなきつい峠越えをしなくてはならないのですが、想像していた以上にブランドン山塊って厳しい山容を呈していたということを発見したり、時間さえあればもっと調べてみたい。

 聖ブレンダンが「聖人たちの約束の地」めざして船出したブランドン入江の画像もいくつか見つけました。こちらとか。そしてついさっき見つけたのがこちらのページ。入り江に下る狭い道路には木でできた( ! )電信柱が立っているけれども、邪魔な人工物がなーんにもない。とくに右端上の、廃墟と化した石積みの古い家の画像なんか、いますぐカメラと三脚かついで撮りに行きたくなる衝動に駆られます。ここが米国の某旅行雑誌で「世界一美しい風景」に選ばれたのも、うなずける気がします。日本みたいに桜だ紅葉だ、というにぎやかな色彩の競演はないけれど、広漠・荒涼とした、冬なんか文字通り寂寥そのものの、どちらかと言えば厳しい風景に、雨雲の切れ間から突如として光芒が差しこんだり、美しい虹がパァーっと出現するのが日常茶飯事だったりするかの地の美しさは、残念ながら西伊豆ではちょっと望めそうにない( 前にもこんなこと書いたかな … )。

 こちらの画像を見ると、入り江の断崖の上はわりと平坦な地形のようです。そう言えば先月、ディングル半島とケリー一帯を舞台になんと自動車ラリーまで開催されたらしい…以前図書館から借りたビデオで見たんですが、ディングル半島の海岸沿いの絶壁を這う道路なんか、まるで昔の西伊豆の旧道そのもの。スリルを越えてかなり危ない気がする。

 そしてこちらはブランドン山へ登る道から振り返って撮影したとおぼしき、ブランドン入江を俯瞰した風景。絶景ですね。

 ディングル半島のすごいところは日本とはちがって変化のスピードがきわめて遅いこと。セヴェリンがブランドン入江から復元した獣皮船に乗って再現航海に出発したときとちょうどおなじころ、National Geographic がディングルの特集を組んだとき、波打って海まで転がり落ちる斜面を背景に地元の坊やがポーズをとっている写真が掲載されていたのですが、数年前、当時の少年がまたおんなじ雑誌に登場して驚いたことがあります…かつての少年が筋骨隆々のたくましい青年になっていたから、ではなくて、背景の山の斜面に驚いたのです。なんにも変わっていない、みごとなまでに。西伊豆とは雲泥の差です。それが日本なんでしょうけれども。こちらでは30年前当時の風景を探すことさえもはや困難な作業です。

 …最後につい最近気づいたこと。サイトの参考文献ページにて紹介してある、The Legend of St Brendan : A Critical Bibliography という本。『黄金伝説』を下敷きにした version を調べていて偶然、40年近くも前に、日本人の先生によって書かれたブレンダン関係論文が掲載されているのを発見。ひととおり目を通したはずが、完全な見落としでした。『聖ブレンダンの告白と祈り』という中世の古い英語で書かれた散文作品についての論文でして、書き出してみますと( p. 72 )、

Kuriyagawa, Fumio, The Middle English St Brendan's Confession and Prayer, Edited from Lambeth Palace Library MS 541(Keio Society of Arts and Letters, Keio University, Tokyo, 1968), pp 23.

 [試訳]「『告白と祈り』の一編纂版は、『あきらかに聖人の人気の高さから(2ページ)』聖ブレンダン作とされた。論文は、作者が『聖ブレンダンの祈り(モラン枢機卿編纂版)』から、『告白と祈り』も聖ブレンダンの筆に帰す発想を得たかもしれないと述べている」

 …とりあえずまた国会図書館にでも当たってみよう…こんどは関西館にありますなんてことにならなきゃいいけど。

[ 2014年 1月1日 追記 ]:2014年、新年恒例( ? )の「生さだ」を見たあとしばし録画したN響の「第九」を聴きつつ、図書館から借りた『フランス中世文学集 I』とか、大晦日間近に書きあげた『航海』関連記事用にアイスランドサガ関連コピーなんか探していたら、ふと、上記記事にて書いたことも思い出していまさっき、ぐぐってみたら … なんとこんなところにありました ! うれしくて、のちほど全文プリントアウトしてじっくり読もう … とはいえ、キャンベル本のつづき( The Masks of God Vol.4 : Creative Mythology )も読みたいし … 時間がいくらあっても足りんな( 苦笑 )。ついでに上記引用文中にスペリングミスがあったので、いまごろになって訂正しておきました。m( _ _ )m 

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