2007年11月18日

「かぐや」のとらえた地球は美しかったけれども

 先週、月探査人工衛星「かぐや」が搭載しているハイヴィジョンカメラでとらえた月と地球の映像というのを見ました。アポロ8号だったか、搭乗していた飛行士の持っていたハッセルブラッドカメラでとらえた「地球の出」の印象がこびりついている者としては、あまりの鮮明さに正直、CGかなにかで合成した映像かと思ってしまったほど。宇宙空間は大気がないからこれだけくっきりはっきりと見えるのですね。青い地球も印象的だったがなんといっても驚いたのは月の表面の映像。ほんとはこうなっていたのか、と感心することしきり。とにかくこれだけ鮮明な映像として月の表面と地球をとらえたのは快挙にちがいありません。日本もやるなあ。今後の観測調査が楽しみです。

 「かぐや」のとらえた青く輝く地球はほんとうに美しかったけれども、残念ながら海洋汚染はいまだに深刻だと思います。手許に先月だったかもっと前だったか、いつか書こうとしてとっておいた新聞記事の切り抜きがあります(いまごろ…orz)。Ocean Conservancyという米国の環境保護団体が、日本をはじめとする世界68か国で昨年実施した海岸清掃の結果、もっとも多かった海のごみが煙草の吸殻だった、というもの。やっぱりね、という感じです。西伊豆でも、黄金崎や堂ヶ島といった景勝地でふと足元を見れば、あるある吸殻。現地に行ったとき気がつけば吸殻を拾うようにしてはいるけれど(煙草を吸わない人)、なんでこうも多いのかと毎回あきれている。もちろん住民はきちんと定期的に清掃活動をしています。それでもなぜか吸殻ばかりが目につく。

 伯父の小型漁船に乗せてもらったことも何度かあるのですが、海岸から見ると、一瞥きれいに見える海もいざ至近距離から見るとけっこういろんなflotsomがぷかぷかと波間に浮かんでいます…夏みかんだかだいだいだか、なんだか知らないけれども大きな柑橘系の果実が浮かんでいたり(もっともこちらは樹から自然に落ちて流れてきたかもしれない)、ビニール袋やら釣り糸の絡みあった塊に発砲スチロールの破片とか。それでも最近はダイバーでにぎわっているから、海底のほうはそれほど汚れてはいないのかもしれない(潜ったことがないからなんとも言えませんが)。

 日本の海岸――とほかの清掃調査をした国の海岸――では吸殻が多かったようですが、海のごみで深刻な問題になっているのは釣り針・網・そしてプラスチックごみ。瓶類も多いらしい。もっとも海にごみが流れ込む原因としては台風などの風水害や津波で…ということもあるから、そちらはしようがないとしても、不法に投棄されるごみもひじょうに多い。ウミガメが餌とまちがえてビニール袋に喰らいついて窒息死するという悲しい事故もいまだに多いし、生態系に深刻な影響をあたえているのはまちがいない。

 ティム・セヴェリンが1993年に東南アジア伝統の竹筏で太平洋横断に挑んでいますが、そのとき北太平洋に漂うごみの集結海域付近にさしかかっています(The China Voyage, pp. 242-44)。ちょうど折悪しく筏の竹を繋ぎとめている籐紐が腐りはじめ、そのために竹が流出しはじめるという不吉な兆候が現れたときに、この北太平洋の「ごみため場」にさしかかった。セヴェリンがこの航海に乗り出すとき、海洋学者から航路上のごみを調べてくれという依頼を受けていたので、下田出航後、ぷかぷか浮かぶごみを見つけるたびに記録を取っていた(ヘイエルダールの孫がおこなったバルサ筏の航海でも海洋汚染調査が目的のひとつだった)。日本近海は一度、テニスコートよりは小さい油膜が広がっていた以外は「うれしいことにびっくりするほど汚染はなかった」。その後航海が進むにつれ、浮きやらプラスチックの破片やらと遭遇したものの、予想していたよりは数はそれほど多くはなかった。ところが「太平洋のごみため場」にくると、ごみの数が急増。もっとも多かったのは網にくっついている菱形の浮き。黄色や白の浮きが何百も浮かんでいてひじょうに目立ったそうです。ときおり酒瓶も見かけたとか。そしてプラスチック製品――壊れたハエたたきに車のエンジンファンに、人形にスリッパ。スリッパはなぜか女性物で、右脚の分のみだったとか。これらのごみを引き揚げると、見るも不快なエボシ貝がゴム状の塊をなしてぶらさがっていた、と書いています。

 そういう自分も、気づかないところでうっかり、ということがなきにしもあらずなので、いつも意識して行動しなくてはと思ったしだい。ちなみにOcean Conservancyの調査結果によると、回収したごみは世界で約3千トン。最多の吸殻は約190万個、ついで食品の包装・容器が約77万個、ふた・キャップ類が約70万個、プラスチックなど袋類が約69万個。日本国内では吸殻のほか多かったのは食品の包装・容器、ふた・キャップ、プラスチック製飲料ボトル。吸殻だっていまは携帯用の灰皿もあるし、心がけひとつだと思うんですけどね。

 セヴェリンの本にも書いてあるとおり、北太平洋のごみため場ではごみが半永久的にぐるぐると、おんなじ水域を行きつもどりつしている。でもいったんそこから抜け出す海流に乗ってしまえばはるか米国西海岸、つまり太平洋の反対側にまで到達してしまいます。げんに日本のごみが米国西海岸にまで流れついているという話はときおり聞きますし。「かぐや」がとらえた地球の映像に心動かされない人はいなかったはず。まずはできることから着実にこなすことが大切かと感じます。自分の吸った吸殻くらいはしっかり処分してください。

posted by Curragh at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから
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