2013年07月15日

アルンシュタットのバッハオルガン

 先日、なにかのついでで開いたこちらのページ。バッハがまだはたちくらいのときにオルガニストを務めていたアルンシュタットの聖ボニファティウス教会 ( 現バッハ教会。ついでに聖ボニファティウスというのは「ドイツの使徒」とも呼ばれるアングロ-サクソン出身の聖人で、布教先で北欧神話の雷神トールに捧げられた聖なるオークの大木を切り倒したことでも有名。ローマカトリックや聖公会など東方教会以外での祝日は 6月 5日 )。

 じつはこのときまで、ここの教会のオルガンが、ほぼバッハが弾いた当時の状態に「復元」されていたことすら知らずにいたものだから、あれあれ ? と思ってしまった。自分のイメージでは、手許の古い本に掲載された写真にあるような ( そしてかつて「名曲アルバム」で放映された映像でも )、二階バルコニーに立つ白塗りのケースに大バッハの肖像画つきの楽器だったもので … しかも修復完了がバッハ没後 250年にあたる 2000年というから、かれこれ 10年以上も経過している ( またしてもいまごろ … )。

 運よくこんなサイトも見つけました。ピーター・ウィリアムズによると、アルンシュタットのバッハ博物館にある「当時の演奏台」は、100% バッハが弾いた当時のもの、というわけでもないらしい。ひょっとしたら手許の『バッハのオルガン作品』になにか書いてあるのかと思ったけれども、あいにく出典は別物で、未確認。リンク先サイトにはウィリアムズによって復元された当時の楽器のストップリスト( disposition ともいう )まで転載されていて、参考になります。

 アルンシュタットの博物館にある演奏台を見ても、当時新造なったばかりのこのヴェンダー製作の楽器はわりとちんまりした規模だったことがわかる。後年、とくに前世紀初頭までに加えられた「改修」によってストップ数は当初の 21 から倍以上になり、その昔「名曲アルバム」で「ニ短調のトッカータとフーガ BWV.565 」が放映されたときに見たのも、このときに拡張されたロマンチックな性質の楽器。Pipedreams サイトの記述とあわせて読むと、レオンハルトが最後の来日公演で弾いた明治学院大チャペルの楽器と同様に、人力で風を送る「ふいご」装置も復元してあるとか。で、たとえば ↓ のような動画でもそれは確認できます。



 二階にあった「もとの」楽器は、なんと格子壁の背後に隠れているという。画像で見る第一印象としては、なんかヴァイマールの宮廷礼拝堂にあったというオルガンの図を思い出してしまった。「天の城」という通称が示唆するとおり、かつての宮廷礼拝堂は何層もの階が吹き抜けになったようなユニークな様式の礼拝堂で、オルガンは最上階バルコニーに設置されていた。言ってみればここが若き宮廷オルガニスト、バッハの仕事場。アルンシュタットの楽器も会堂の最上部にあったから、ヴァイマールの楽器ほどではないにせよ、オルガンの豊かな響きが文字どおり音のシャワーとなって天から降り注ぐような感覚だったんじゃないかと思います( 前にも書いたけれども、ヴァイマール宮廷礼拝堂はその後火災で焼失してしまって現存していない、残念至極 )。そういえばこの前見た「ららら ♪ クラシック」、パッヘルベルにつづきましてバッハでしたね ! おもしろかったけれども … 「アリア」は、なんといっても跳躍の多いベースライン( 通奏低音 ) の効果大、とも思うのでした。そして、そう、「意外にアツい男バッハ」。ここでも何度か書いたから蒸し返さないが、とりわけアルンシュタットの 4年間には聖歌隊のファゴット担当のガイエルスバッハという男と夜、広場でサーベルを抜いて、チャンチャンバラバラまで起こした前科あり( 苦笑 )。

 … と、ここまで「今日は一日 AOR 三昧」をちょくちょく聴きながら書いていました … クリストファー・クロス、エア・サプライ、ビリー・ジョエル、マンハッタン・トランスファー … たまにはこんな「オトナな」洋楽もいいね。ヘビメタとかみたいにわんわんガンガンしなくて、涼やかで心地よいし。いま ? いまはもちろんバッハです。連続企画 ( ? ) の「教会カンタータ」全曲を聴く試み。いまは 90 番台。そろそろ 100 番台に入りそう。小学館の『バッハ全集』解説本を見ながら聴いていますが、なんというか、バッハの鍵盤作品を愛好する人こそ、「作品理解」のために教会カンタータを聴くべきではないかという思いをつよく抱くようになった。バッハ作品はよく「声楽的であると同時に器楽的」でもあると評されたりするけれど、その「背後」にある作曲者の意図が、とりわけ具体的な「歌詞」を伴ったこの手の声楽作品を分析することによってよりいっそう深まる、と確信します。やっぱりバッハのような天才の手になる作品というのは、鍵盤作品ならそれしか聴かない、というようないままでのワタシみたいな態度はほんとに片手落ちで、厳に改めなければならない … と反省の念もこめて、いまはつよく思うようになったしだい。だから、というわけでもないが、バッハのオルガン作品についでその後、少年合唱ものも好きになったのは、バッハの宗教声楽作品鑑賞にとっても、まさにうってつけだったのかもしれない。

posted by Curragh at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽関連
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