2013年08月12日

「オルガンのある街 〜 ヨーロッパの名器を聴く 〜 」

1). 先週の「ベスト・オヴ・クラシック」は「ドイツのオーケストラ」。バッハ好きのワタシは当然、木曜夜の回がよかった。「チェンバロ協奏曲 第 1 番 ニ短調 BWV.1052 」を、現代ピアノで弾いたものでしたが、抑制の効いた、わりと軽快な響きで楽器を奏でていた印象でした。独奏ピアノを支えるオケは中部ドイツ放送交響楽団、指揮はクリスティアン・ヤルヴィ氏でした。

 この放送聴いていてもっとも大きな「発見」だったのは、かのグスタフ・マーラーが、バッハの「管弦楽組曲」の 2番と3番からいくつかの楽曲を組み合わせてオケ用に「編曲」した作品がある、ということでした。というわけではじめて聴くその作品は、なんか意外なほど ( ? ) 原曲に沿ったオーケストレーションだったように思えた。もっともよくよく聴くと、うしろでピアノやフルートがバラバラと自由なフレーズを奏でていたりしたので、念のため図書館にて『ブルックナー / マーラー事典』の記述も見てみました … それによると当時すでに忘れ去られていた通奏低音の「再現」を試みたとあり、初演のさい、マーラーが用いたのはチェンバロの音響を模倣した「チェンバロもどき」の楽器だったらしい ( スピネットと本人は言っている )。マーラーの「バッハ理解」はこんにちのそれとはかなり異なり、むしろ自身の考える、あるべき音楽の姿をバッハの音楽のうちに見出していたと見たほうが適切かと思うが、それでもマーラーは「バッハこそポリフォニーの真の巨匠である」と公言していたそうだから、マーラーにとってもバッハはきわめて重要な音楽家だったことはまちがいない。「アダージェット」で有名な「5番」だって、終楽章はかなり込み入ったポリフォニックな構造になってますし。

2). いま、「オルガンのある街 〜 ヨーロッパの名器を聴く 〜 」という「夏の特集番組」を聴きながら書いてます … なにもこんなクソ暑いときに、とも思ったが、せっかくなんで扇風機をがんがん回して聴取。で、初日は、ライプツィッヒの聖トーマス教会から。番組でかかったのは19 世紀末に建造された古いザウアーオルガンではなくて、すべてバッハ没後 250年を記念して 2000 年にあらたに建造された「バッハオルガン」を使った音源から。現トーマス教会正オルガニストのウルリヒ・ベーメはじめ、なんとジリアン・ウィーアの音源までかかってまして、とても興味を惹かれました。

 この白亜のケースの美しい「バッハオルガン」は、特定の歴史的楽器を復元したのではなくて、ゴットフリート・ジルバーマンや弟子のヒルデブラントなどに代表される、中部ドイツ型と呼ばれるオルガンを手本に、かつてバッハが作成したオルガン改造計画書なども参考にまったくあたらしく建造されたもの。4段手鍵盤と足鍵盤、実働 61ストップ。番組中かかったベーメさんの弾く「パッサカリアとフーガ BWV.582 」は、ずいぶんとせっかちだなあという印象は受けた。もうすこし「重々しさ」があってもよかったのでは、と個人的には感じた。ちなみにドイツのオルガン、とくると、たとえばブクステフーデに代表されるような「北ドイツ様式の」、そそり立つペダルタワーの印象的なシュニットガーなどの楽器を思い浮かべる向きも多いかと思いますが、じっさいのところ、現存するそれらの楽器はあんまりバッハ作品の演奏には向いてなかったりする。調律法の問題や、「ブロークンオクターヴ」などの扱いづらい鍵盤などがあるため ( カペルのシュニットガーオルガンとかもそう ) 。
 
 ところで以前、ここでこの教会には計三つの楽器がある、みたいなことを書いてしまったが、どうも現在はこの白いバッハオルガンと古いザウアーと二基しかないみたいです … ヘンだなあ、じゃ「聖トーマス教会のクリスマス」という DVD に収録されたあのもうひとつの白い、四角いケースの楽器はいったいどこへ … いったのかな ??? 

 明日はパリ・ノートルダム大聖堂のカヴァイエ-コルの楽器らしいから、19 世紀ロマンティックオルガンの時代、というわけか。最終日はオランダ各地に残っている歴史的楽器が聴けるというので、こちらもおおいに楽しみ。

posted by Curragh at 09:25| Comment(0) | TrackBack(0) | NHK-FM
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