2007年12月24日

今年のBoni Pueri

1). 先日、チェコ共和国の少年合唱団Boni Pueriの来日公演に行ってきました。東京カテドラル公演と、日本の子どもたちの合唱団とのジョイントコンサートの2回。

 2005年暮れに横浜で彼らの歌声にはじめて接したのですが、「天使のパン」のソロを歌った子もすばらしく、またメリハリのある力強い歌い方と舞台を縦横無尽に使った底抜けに楽しいダンスなど、パフォーマーとしても図抜けていながら破綻のないところがおおいに気に入りまして、今回もまたそれを期待してチケットを取りました。

 カテドラル聖マリア大聖堂での公演は、まさか飛んだり跳ねたり…なんてことはできないので、前半がご当地のゼレンカ、ドヴォルジャーク、エベン、スメタナの曲とグレゴリアンチャントやバッハ、ヘンデル、フランクの宗教曲、後半が世界のクリスマスキャロル集といった構成。「信仰の十字架」を歌いながら列をなして入場。今回の大聖堂公演で期待していたのはもちろん大聖堂ご自慢のイタリア・マショーニ社製オルガンの伴奏で歌ってくれることでした(いつもはピアノ伴奏)。オルガンが鳴り響くと、昨年のいまごろはじめてこの楽器の響きを耳にしたときの感動が甦ってきた。ひじょうに柔らかい、暖かな音色の羽毛にほわっと包まれるあの感じ。

 ところが…楽器の響きはいいのですが、伴奏者がどうにも挨拶に困るなぁ、というのが率直な印象。それに子どもたちもなんと言うか、元気のない歌い方です。おや、これがあの…と思いました。もっとも自分の席位置のせいもあるかもしれない。でもあきらかに2005年の来日組とはちがいました。オルガンも、たしか足鍵盤なしで演奏していたし、どうもいまいち。スメタナの有名な「モルダウ」を日本語で歌ってくれたのはサービス精神旺盛でいいけれど、いちばん盛り上がるところでいきなり伴奏が聴こえなくなったり(?、なにかトラブルでもあったのか? ちなみにこのときはうしろのオルガンではなく、祭壇斜め前に用意された、スピーカーから音を出すチャーチオルガンを弾いていた)…この人はあくまでピアニストであって、オルガンは本職ではないらしい。リガ大聖堂とか英国のカレッジ礼拝堂聖歌隊だったらちゃんとしたオルガン弾きが来るんですけれども、今回はそうではなかったみたいです。合唱団との息がぴたりあっているとも言いがたい。本番前の「合わせ」が足りないようにも感じました。「天使のパン」のソリストくんはよかったけれども、後方のオルガン席のほうからこだまするように歌っていて、しかもバックコーラスともども終始弱音で歌っていたので、こちらもすこしがっかり。また「御空にこだます」では歌いながら空を見回す(?、天の御使いでも降ってきたか?)パフォーマンスを――指揮者先生まで――見せたり。一般のコンサートホールではそんな演出も効果的だとは思うが、聖堂内コンサートはもっと音楽に集中したほうがよかったと思う。へたな演出はしないほうがいい。ふつうに歌ってほしかったです。

 なので自分の耳には、ちょっと肩透かしを喰らったような印象しか残らなかった演奏会でした。その週末、こんどは相模原市橋本駅前に建つ複合施設の中にある「杜のホールはしもと」でふたたび聴いたのですが、こんどは席位置がよかったのか(1階前寄り中央)、東京カテドラルのときよりはいい演奏が聴けたのでよかった。例のコケてしまった伴奏の方も、ホールのスタインウェイピアノで水を得た魚のごとく、合唱団との息もぴったりあったノリのいい伴奏を聴かせてくれましたし(とくにゴスペル曲)。で、また「モルダウ」を演奏したのでじィーっと凝視していたら、例の箇所が「譜めくり」のところだったことが判明。さては譜面を落としたのか?? 

 「杜のホールはしもと」でのジョイントコンサート、もちろんチェコの子たちもよかったのですが、驚いたのが地元の子どもたちの合唱団。下は年長さんから上は大学生まで、総勢69名の大所帯なんですが、なんとこれ、このときのために9月に結成されたばかりだという! しかも合唱コンクール入賞の常連校の合唱団員をのぞけば、ほとんどが合唱の経験さえない子どもたちばかり、おまけにみんなで練習したのはわずか10回くらいというのだからさらに驚く。でも――園児はしかたないけれど――たいした破綻もなく、音程もひじょうに安定してメリハリがあり、その技量には驚きました。指導された先生が当日の進行役を務めていましたが、これもひとえにこの先生の指導がすばらしかったからではないかと感じ入りました。みんな気持ちよさそうに、のびのび歌っているのもよかったですね。

 ここのホールで聴くのは今回がはじめてなんですが、名前の通り木をふんだんに使っているためか、音響効果はけっこういいという印象を受けました(大きさは第一生命ホールくらいか)。開場前にホール入り口で待っていたとき、来年3月公演予定のこちらのチラシにも目がとまった。たしかこれNHKの「芸術劇場」で見て、大笑いしたことがあります。こっちのひとり芝居もすこぶるおもしろそうですな(でも横浜からだとけっこう時間がかかるなぁ)。

 終演後、CDお買い上げの方対象のサイン会をやってました。なるほど、横浜みなとみらいのときもこれをおこなう予定だったけれど、女子高生だかなんだか、騒ぎだしたので中止になったんだな(それを知ったのはかなりあとのこと)。Boni Pueriは終演後のサイン会をいつもやってくれるみたいです。なので団員のサインがほしい人はおとなしく待ちましょう(苦笑)。

 ↓は、当日のサイン会のようす。

DSCN0562.JPG

DSCN0563.JPG



2). そんな折りも折り、22日付NYTimesに、ご当地のセントトーマス教会聖歌隊のクリスマスコンサート評が掲載されていました。指揮者はもちろん名伯楽ジョン・スコット先生。プログラム前半がブリテンの「キャロルの祭典」、後半がスコット先生のオルガン独奏によるメシアンの「主の降誕」。前任者の先生がどんな人で聖歌隊員にどんな指導をしていたのかは知りませんが、スコット先生の指揮のもと、聖歌隊員の子どもたちの歌いっぷりは――文面から察しますに――ひじょうに快活というか、元気いっぱいだったようです。「(以下試訳)…天上の王の降誕を祝う歌、『来たれ、クリスマスよ!』では、遊び場でたがいに押しあいへしあいする男の子の向こう見ずな性急さがある。『この幼きみどり児よ』では、生まれてまもないみどり児に、「サタンの群れを連れ去れ」と呼びかける少年聖歌隊員が、目の回るダンスのような熱気を帯びる音楽に乗って、裏庭のけんかに仲間のひとりでもせっついて送り出しそうなくらいだった」。

 個人的には、すこしくらい音をはずしてもかまわないから、これくらいの迫力というか、元気さが伝わる演奏のほうが好きですね! 

3). けさ、NHK-FMの「みんなのコーラス」を聴いていたら、あまった時間内でドイツの名門、ヴィントスバッヒャ(ウィンズバッハ)少年合唱団のCDから2曲かかってました。このアルバムは知らなかった。金管アンサンブルをバックに歌う、というのはちょっと趣向が変わっていておもしろい。また買いたいものが増えてしまった。orz

 深夜帯になると思いますが、生で聴きたい方はこちらも忘れずに。心安らかなクリスマスを。

posted by Curragh at 21:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽関連
この記事へのコメント
Curraghさん、こんばんは。しばらくでした。
ボニ・プエリ来日公演、興味深く読ませてもらいました。やっぱり大聖堂だと、雰囲気は出るかもしれないけど、音響の面ではホールには勝てないですよね。
それに伴奏者は演奏の出来を左右する「命」みたいなものなのに、大聖堂付きのオルガン奏者でなかったのは痛いですね。(いないのでしょうか?)
でも、ホール公演のほうはなかなかだったようですね。次回来日するときは、私もちょっと行ってみたいなあと思いました。

それから、セントトーマス教会のコンサート評も、わかりやすく教えていただいてありがとうございます。自分では記事を探すこともできなかったと思うので・・・(--;)
さすがJohn Scott氏ですね!セントポールを退団してからも、次の聖歌隊での名声がそのうちきっと聞こえてくるだろうと思っていましたが・・・元気いっぱいの歌いっぷり、微笑ましいですね。これからの活躍を期待したいと思います。
Posted by Satomi at 2007年12月26日 21:35
Satomiさん

コメントありがとうございます。m(_ _)m

東京カテドラルは、声楽を聴くには音響面で最高の空間だと思います。一般のホールより残響が豊かなので…。昨年のことがあったので、当日はまた足先から冷えるかな…と思いきや、けっこう暖かかったです。座席には「使い捨てカイロ」まで用意してありまして、こちらはありがたくちょうだいしておきました(笑)。

Blogについてですが、スコット先生ご本人から返信をいただいたとは、正直びっくりです。よかったですね! コナーの歌声にかんする記事もひじょうに参考になります。m(_ _)m

The Choirboys、たしかにウィル・ダットンくんは一年前にくらべてずいぶんいい声に「醸成」されてきましたね。アンドリューくんもさらに磨きがかかったと言うか。これが「最後の輝き」になるのでしょうか…。アルバムについては、個人的にはもうすこし3人メインで歌ってほしかったかなと…ときおり男声のバックコーラスのほうがよく聴こえてしまったりするもので。そして記事を見て気づきました。そうか、Il Divoの少年版か! その線を狙っていたのかもしれませんね。

Satomiさんもよき新年をお迎えくださいね。
Posted by Curragh at 2007年12月30日 05:10
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