2006年06月28日

『星の王子さま』

 今年はサン-テグジュペリがLe Petit Prince を故国で出版して60周年、しかも版権切れも手伝ってあちこちの出版社からさまざまな訳者の手になる邦訳がつぎつぎと刊行され、本屋に行くと『ダ・ヴィンチ・コード』に負けずに『星の王子さま』コーナーができてます(ちなみに明日、29日はサン-テグジュペリの106回目の誕生日、しかもこんなサイトまであるとは。さしずめハイジの公式サイトみたいなものかな?)。

 もう2週間以上経つでしょうか、NHK-FMで「ラジオ深夜便」を聴いていたら、『星の王子さま』の朗読劇を3日連続でやっていました。朗読に耳を傾けているうちに、ひさしぶりに原作を読みたくなりました。

 というわけで、あらためて読み直してみました(岩波版、2000年刊)。いろいろな邦訳が出ているけれど、朗読を聴いたときの言い回しが似ていたのでたぶん底本として使ったのは岩波版じゃないかと思います(もともと翻訳出版権をもっていたのが岩波なので)。

 あらためてサン-テグジュペリってすごい作家だなーと感嘆。訳者内藤濯氏の訳もお見事と言うしかない(タイトルはほんとに名訳ですね)。そしてこの作品を読むと、年を重ねるにつれますます頭を掻くことが多くなるような…とくに星の勘定ばかりしている実業家のいる星のくだりなんか。凡百の本を読むより『星の王子さま』一冊を読んだほうがよっぽど「人生にとって大切なこと」を教えてくれると、歳をとるにつれますます強く感じます。原作者自身による挿絵つきのこの宝石みたいな小品は、たしかに子ども向けに書かれてはいるけれども、「かつて子どもだった大人」こそ読まなくては…と思う。

 作品に登場する王子さまは、「子どもの姿をした老人」のようにも見えてきます…受け答えが哲学的でとても深くて、重い。キツネとヘビも重要な役回りですね。キツネと王子さまの会話なんか、そのままプラトンの「対話篇」みたいです。そういえばいまさっき読んだ『ナグ・ハマディ文書II 福音書』所収「トマスによる福音書」の、復活したイエスと弟子たちとの「問答」にもどこか似ているなー…だからってグノーシス的だとは申しませんが。そして王子さまと夕陽のエピソードは、なんだかとても切ないですね…「だって…かなしいときって、入り日がすきになるものだろ…」。「一日に44度も入り日を眺めるなんて、あんたは、ずいぶんかなしかったんだね?」という科白、泣けてきます。

 そういえばかつて――もう30年以上も前――この作品が映画化されたことがありました。だいぶ前、某大型書店にて昔の洋画のチラシやパンフレットのバーゲンセールを開催していたとき、映画版『星の王子さま』のパンフレットも目にしたことがありました。最近ではミュージカルにもなっているし、英国BBCのTV版に王子役として抜擢されたのが、来月はじめに来日するマクマナーズくんですね。映画のほうはずいぶん幼い感じの王子さまでしたが、BBC版のマクマナーズくんの王子さまのほうが、どちらかといえば原作に近いかも。いずれにせよ金髪少年であることが絶対条件ですね(笑)。ついでに箱根に「星の王子さまミュージアム」なんてものまであるんですね、知らなかった(行ってみようかな…)。

 …心に余裕がなくなりかけたり、落ちこんだときにはまたこの珠玉の名作を取り出して、王子さまに励ましてもらおうかな。自分の好きな音楽を聴きながら。

 VoAメンバーによる、BBCのTVミュージカル版『星の王子さま』のサントラの評を見ていたら、配役に目がとまりました。

 マクマナーズくんがこのTV版でアレッド・ジョーンズと共演していることは知ってましたが、ではアレッドはなんの役なのかなと思っていたら、なんと酔っ払い星人(驚愕)!!

 …てっきり王子さまとお友達になる飛行気乗りかと思ってましたよ…。
posted by Curragh at 01:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近読んだ本
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