2008年01月06日

郎朗の出逢った最初の先生は

1). けさ、こちらの番組今年最初の放送を見たら、本日の主役はいまをときめく中国出身の若手ピアニスト郎朗( ラン・ラン )ではないですか。しかも進行役にあの松永貴志くんと、これまた豪華な顔合わせ。ホロヴィッツを尊敬している郎朗、さっそくホロヴィッツ特有の 'flat' な指使いで弾いてみせたり、バレンボイムの余興技(?)らしい「鍵盤上でオレンジを転がしながら」ショパンのエチュードをバラバラと弾いたり(! … 絶句 )さしもの松永くんも呆気にとられたようす。さてインタヴューで、ピアノをはじめたきっかけは? と訊かれた郎朗のこたえには、TV を見ていたこちらが呆気にとられてしまった。幼少時、郎朗は「トムとジェリー」を見ていたらしくて、そこでアカデミー賞をとった名作「ピアノコンサート」を見たのがそもそものきっかけという !! そんな話は初耳。そうだったんか?? と思いつつ流暢な米語(英国英語ではないという意味で)と大げさな身振り手振りで彼が話すには、ピアノを弾くトムの指がスパゲッティのごとく伸びていちばん遠くの高いキーを押さえたりといった場面を見て、自分もあんなふうになりたいと思ったんだとか。とにかくトムの弾きっぷりに心酔したと言います。なので、'The cat was my first piano teacher!' なんですと。こんなとこで「トムとジェリー」つながりとは、朝から正直ビックリさせられました。

2). そんな余韻も冷めないうちに、こんどは NHK-FM で昨年 11月におこなわれた「第 61回 全日本学生音楽コンクール全国大会」のもようがダイジェストで放送されていまして、のんびりサイトの更新とかしながら聴いていたのですが、わが静岡県からも二名出ておりました。おひとりは声楽部門で3位に入賞した高校生テノール歌手( けっこうよかったです、あいにく放送は尻切れトンボだったが )、そしてもうひとりが、以前ちょこっとここでも触れたことのあるピアノの佐藤元洋くんでした。ピアノ・ヴァイオリン・フルート・声楽の各部門ともに全国大会出場レヴェルともなると、みんなそれぞれに説得力ある名演を聴かせてくれるのですが、佐藤くんもなかなかやるなあ、という感じ。ずば抜けていたというわけではなかったけれども、1位を同点でもうひとりとわけあうという結果にはうなづけました。自分の趣味に思い切り走る偏った言い方をすれば、佐藤くんの弾くショパンの演奏にはくっきりとした陰影というかメリハリがあり、大胆さと繊細さのバランスが絶妙。事前になにも知らなければ、中学生ではなくてもっと年上の奏者の演奏かと思ってしまうくらい、構成力のあるしっかりとした演奏だと感じました。一昨年の北村くん同様、佐藤くんもこれからぐんぐん伸びそうで、じつに楽しみであります。
 
 英国のアングリカン系大聖堂聖歌隊では才能ある少年隊員には早ければ 10歳くらいから、オルガンの手ほどきをすることがよくあります。そんな隊員の練習風景というのを YouTube で見かけたこともある。でも練習ならともかく、オルガンの場合はピアノとおなじわけにはなかなかいかない。例外はあるものの、コンクール出場者も音大生クラス以上の年齢になってからというのがほとんど。足鍵盤に足が届くまで身長が伸びないといけないとか、体力的・物理的な条件もありますが、なんと言ってもオルガン音楽の歴史は古いし、レパートリーも膨大。とくにバッハは難易度の高い難曲ぞろいで習得するだけでもたいへんです。オルガン界の人材不足は以前から言われているようですが、ほかの楽器にくらべてこの「とっつき悪さ」がひとつの要因をなしているのだろうと思う。ほかの楽器もそうだけれども一人前になるにはやはり相当な費用がかかるし、欧州ならともかく日本の場合は活躍の場が ―― はっきり言えば仕事の口が、需要がかぎられているのも一因かと思うし、「業界」の閉鎖的体質も問題かもしれない。『パイプオルガンと政治』という本の二番煎じになるけれど、もっとオープンにして、より多くの音楽好きの関心を惹きつければ、オルガニストをめざす才能ある若い人がもっともっと増えるんじゃないでしょうか。底辺を開拓する意欲が少々足りないように感じます。

タグ:佐藤元洋
posted by Curragh at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | NHK-FM
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