最近はアマチュアではなくてその道のプロが手っ取り早くて元手もほとんどかからない有効なプロモーション手段としてこの手のサイトを利用することも多くなり、音楽など芸能関係にいたってはMy SpaceもYouTubeも内容は大差なくなってきている気がします。売り出し中の歌い手さんとかバンドにとっては、自分たちの演奏がWebでつながったPCもしくはiPhoneなどの携帯端末でいつでも、どこでも見てもらえるようになるとは、ちょっと前までは思いもよらなかったこと。ことに情報技術関連ではよく先行者利益とか早い者勝ちとか言われますが、そういう発想じたいが紋切り型のようにも思う。けっきょく使い勝手のいいサイトに仕上げる不断の努力の積み重ねがこれだけ多くのユーザーを惹きつけているということなのではないかな。このへんはAmazonにも通じるところで、「顧客最優先」で勝負するというのがやはり大切なような気がしますし、「1-click決済」とか、独自の特許をもつサイト構成技術だって、膨大な商品の山のなかから欲しいものを瞬時に見つけ出すデータベース技術も構築するまでに10年はかかっているといいます、ってなんだか回し者みたいな物言いになってしまった(あ、Amazonといえば、忘れていたころにやっとレオンハルトの超お買い得15枚組「生誕80周年記念エディション」が届きました! このヴォリュームでこの価格ははっきり言って驚愕! タ○○コより安かった)。

でもYouTubeサイトを「発表の場」にしているのはなにもインディーズ系のミュージシャンばかりとはかぎりません。圧倒的に多いのがやはり一般の音楽愛好家の演奏記録です。なかには「プロの卵」、たとえば英国の少年聖歌隊員の弾くピアノやオルガン、あるいは自慢の歌声とかもアップされたりしているけれども、そうではないいわゆるアマチュア演奏家もけっこうすごい人がいるものです…というわけで、たまさかにYouTubeサイトをのぞいている門外漢が独断と偏見で選んだアマチュア演奏家の方の名演のいくつかを紹介したいと思います。
まずもっとも驚いたのは、本業はドイツでトヨタ車を売っているというディーラー経営者の方の演奏。弾いているのは――前にもここで書いたが――超難曲のバッハ「前奏曲とフーガ BWV.541」から前奏曲。投稿動画を見ていただければ、このバッハにしてはやけに明るく躍動感みなぎる前奏曲の演奏がいかに困難かがわかると思う。あえて勝手な感想を言わせてもらえれば、いっそのことプロのコンサートオルガニストに転身されたほうがいいのではとさえ思ってしまいます。とにかく脱帽! です(つづきのフーガはこちらの方の演奏で。こちらはどうもプロみたいですね。というかこの二段手鍵盤の楽器、いったいどこに設置されているんだろ…? 残響のほとんどない場所ですね)。
つづいてはシュヴァイツァー博士の師匠ヴィドールの有名な「トッカータ(「オルガン交響曲 第5番」終曲)」。なんと13歳の少年が弾いているのを発見して正直たまげた。寄せられたコメントの中にはまだ19世紀仏オルガン交響楽派を弾くには早すぎるとかなんとか、ケチつけている人がいましたが、なんのなんの上出来ではないですか。最後の二重ペダルもきっちり弾いているし…テンポがブレてないのもいい。思うに、鍵盤楽器を習っている子って、みんなこれくらい弾けるんだろうか(ピアノではグレード7とか8とかありますが…)。そんなことはないと思うけれども…。とにかくすごい、驚きました。
あんまりペタペタ貼ると重くなるので以下はリンクでご紹介。バッハの数あるオルガンフーガのなかではとびきり有名な「ト短調の小フーガ BWV.578」。さすが有名な作品だけあっていろんな人が思い思いに演奏されていますが、このイタリアの方の演奏が目にとまりました(フィレンツェ出身の若手プロ奏者らしい)。きびきびしたテンポ、ほどよい装飾音、そしてなによりもフレージングとアーティキュレイション処理がすばらしい。Bravo!
「ト短調の小フーガ」があれば、当然、区別するために「ト短調の大フーガ」もあります(BWV.542)。こっちはイタリア様式研究の成果が存分に発揮された「小フーガ」とはがらり変わって、バッハがハンブルクの教会オルガニスト試験用に作ったという「幻想曲 ト短調」とセットになったフーガ。なんでも試験官だった老ラインケンの生まれ故郷オランダにちなんで、オランダ古謡にもとづく主題とか言われています。で、こちらの方はなんと――手っ取り早く大小セットにして弾いてみた、というビデオを投稿しています。なんとも脱力系ではありますが、くっつけてみたらこんなんできました、という感じ。
ついでにいましがた、すてきな即興演奏を披露しているインディーズ系ミュージシャンの動画も見つけました。使用楽器は、以前ここにも「ほしい!」と書いた、電子チェンバロを作っている老舗、ローランド製の電子ピアノみたい。電子楽器つながりではこちらも。弾いているのは村松氏の「彼方の光」。Liberaのおかげで、YouTubeでもずいぶん見かけるようになりました。こんなふうに海外のアマチュアがこぞって自作を弾いているのを見たら、作曲者冥利に尽きるのではないかと思います。
最後は「フーガの技法」つながりで。出だしのContrapunctus1。鍵盤楽器の演奏…ではなくて、なんとなんとギター一本!!! 演奏しているのは中国の人らしい。とにかくこれにもびっくり。たしか北欧の演奏家だったか、「フーガの技法」全曲をギターで録音している猛者がおりますが、なるほど、ギターだとこんなふうになるんですか!! いずれにせよ自分には神業にしか見えません(しかし額のアップ映像は必要ないと思うが…というかこの方、さだまさしさんに似ている[笑])。
…そして本日見つけたおまけ動画。こんなdomesticでかいがいしいダース・ヴェイダーなら、栗コーダーカルテット演奏による脱力系テーマがお似合いですな。
もうひとつおまけ。へぇ、ウィーン少って、こんなこともやるんですねぇ。「アルゴリズムこうしん」って…なんなんだろ?! …そしてどうでもいいことながら、掲載写真の二列目の座席、最後のBAC公演のときに自分が聴いていた席ですね…。チェンバーオルガンがちょうど目の前にあって、ハリーくんのお顔とかが譜面台に隠れてあんまり見えなかったこととかつい思い出してしまった。
