2008年06月14日

ミツバチもつらい

 米国では2年ほど前から、受粉用ミツバチの「大量失踪」事件があいついでいます。先日も、そのことを報じるNHKの番組を見ました。

 自分がこの問題をはじめて知ったのはTimesこの記事でした。米国のミツバチ失踪事件、たしか民放でも取り上げられたし、NHKの「週間こどもニュース」でも取り上げていたので、ご存知の向きも多いかと思います。

 前に読んだマッキベンの本(Deep Economy)にも書いてあったように、米国の大規模農業というのは「広大な畑をたったひとりで」管理するという、農業というより効率最優先の無人工場みたいなところが多い(それがじっさいにはいかに非効率的かは、マッキベンが例証している)。そして大規模農業をほんとうに牛耳っているのはカーギルとかアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドといった「食の大企業」で、契約農家には過酷なノルマが課せられ、収穫が目標に届かなければ即解約、「現代の農奴制度」という批判まであがっている、そんな「人にも環境にもちっとも優しくない」農業です。マッキベンの本にはミツバチの失踪は書いてないけれども、目先の利益・効率最優先の農業は人間のみならず、ミツバチたちにも過大な負荷をかけているのだ、という思いを強くしたしだい。無理が通れば道理が引っこむ。農家のみならず、ミツバチも共倒れです。自然の摂理を無視し、ひたすら効率最優先に走った米国型農業は、「持続不可能」な農業。ミツバチたちの起こした「叛乱」は、もうそんな農業は通用しない時代になったということを警告しているとしか思えません。もっともわれわれ日本人は、そんな米国の農産物に依存しているのですから、対岸の火事ではすまされない。残念ながらわたしたちの「食」も、米国の農場でせっせと働くミツバチの群れに頼っているのだ、ということを忘れてはいけません。

 …それにしても記事中のグラフを見ますと、大豆にリンゴ、オレンジにアーモンド、綿花に葡萄…とミツバチの受粉に頼っている作物は、ずいぶん多いですね。ミツバチの大量失踪事件は、つまるところ効率最優先の「単一種しかない畑」が招いた悲劇でもある。効率がよい=最善のことのように思われるけれども、歯車に「遊び」が必要不可欠なのとおんなじで、人間にもミツバチにも「遊び」というか無駄が必要。効率最優先の呪縛から逃れられないから、ミツバチにも人間にも過大なストレスがかかる。自然には「遊び」や無駄がきちんと備わっているけれども、経済効率最優先ではこれらがないがしろにされる、というか、悪とされる。「持続可能な社会」にするためにも、あまりに偏った価値観の根本的な転換を迫られている気がします。

 …けさ、Weekend Sunshineを半分寝ながら聴いていたら「緊急地震速報」が流れた。被災された方には心からお見舞い申し上げます。

posted by Curragh at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2008年05月31日

地デジは2秒、ワンセグは3秒超遅い

1). 先日、ふと目にとまった新聞記事。なんでも地上デジタル放送は受信まで平均約2秒、ワンセグになるとなんと3.85秒も「遅い」という(→関連記事)。

 ひまなときはずっとNHK-FMを聴いているから、かなり以前より、AM/FMラジオ放送の時報よりアナログTV放送の時報が一拍遅いことは知っていた。さだまさしさんが不定期(?)に出演する深夜番組で、一度NHK-FMと連動して放映されたときがあり、ためしにFMで聴いてみたらさださんの音声がやはり一拍ズレて聞こえてきた。TV放送は若干、受信が遅いのです。

 そこへもってきてこんどの話。いくらなんでも2秒も遅いとは、クラシック専用ホールの「残響」時間じゃあるまいに。まことに本末転倒な事態だと思う。現行のアナログTV放送とくらべて2秒遅いということなので、じっさいにはもっと遅い。いくら「高解像度」の受像機で、「高画質」かつ「高機能な」放送を、と言っても、すわ大地震、というときに2秒も3秒も遅れて届くようでは間にあわない。助かる命も助からないかもしれない。地デジ放送のコピー問題…ばかりが取り上げられるが、それよりもこちらの問題のほうがはるかに重大だと思わないのか。昨年暮れにある週刊誌が「テレビを叱る」という企画ものを連載していたのを読んだことがあるけれど、ある人がうまいこと言ってました。「テレビは受像機のみならず、中身まで薄っぺらになっている」。「軽薄短小」もついに「人命軽視」か。なんだかいまの風潮がそのまま立ち現れているようで、薄ら寒い気がする。

2). Kenさんの書かれたこちらの記事を見て、いまごろ知った、ベルリン・フィルハーモニーの火事。よくよく探してみたら、NYTimesにもありました。

Sarah Willis, the orchestra's second horn, said she had been in the warm-up room when she "smelled something like lunch was burning."

最初は、パンかなにかが焼け焦げているとでも思ったみたいですね。

The Philharmonic’s distinctive yellow building, completed in 1963 and designed by Hans Scharoun, lies near the old dividing line of Berlin ― the wall ― in what was once the western sector. It is known for the quality of its acoustics.

そうそう、昔は「西ベルリン」にあったんですよね。本棚にはまだドイツが東西に分かれていた時代に出版された『ベルリン』という写文集がいまだにあるけれど、いまの中高校生ってみんな90年代以降の生まれの子たちだから、「旧ソ連」とか「東西ドイツ」といわれてもあんまりピンとこないかもしれない。時代と言ってしまえばそれまでだが、「ベルリンの壁」が市民の手で破壊される光景をTVで見たときには、「ヨーロッパが大きく変わろうとしている」ことを肌で感じたものでした。それに引き換え…ちょうどそのころバブルの絶頂期だったこの国では、近いうちに来ることがわかっていながら硬直化して時代にそぐわなくなった年金制度や社会保障制度問題についてなんら手も打たず無策のまま、代わりに「ふるさと創生資金」と称して各府県に1億円ずつバラまいていた時代でした。そのころから経済の輸出産業依存体質とか、公共事業のあり方の見直しとか真剣に議論して構造改革していたら、いまごろ道路特定財源とかですったもんだしたあげくみんなが振り回される、なんてこともなかったのでは…と思いますね。

 …記事とは関係ないけれど、この前見た「地球ドラマチック」。おお、なつかしの「ルノホート」!! たしかこれ、小学生のときに買った『宇宙のひみつ』という漫画本にも載っていた。1号と2号とあったんですね。番組は、開発者アレクサンダー・ケマルジャンの伝記としてもひじょうに興味深かった。驚いたのは、チェルノブイリ原発事故のとき、「ルノホート」の技術を生かして遠隔操作で動く小型無人探査車が作られ、おおいに活躍したこと。旧ソ連崩壊後は西側の科学者とも自由に意見交換できたケマルジャン博士。ついこの前も火星にPhoenixという名の探査機が着陸したばかりですが、ひょっとしたら米国における火星探査車開発にもこうしたケマルジャン博士たちの技術が生かされているのかなとも思った。とはいえ、着陸するため降下する探査機を上空からべつの火星探査衛星Mars Reconnaissance Orbiterが撮影するというのも、ある意味すごい話ではある(→NASA・ジェット推進研究所サイト内の記事)。

posted by Curragh at 20:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2008年05月17日

四川大震災とイエッサー博士逝去

1). 月曜に中国内陸部を直撃した四川大地震の報はとても他人事には感じられず、ショックを覚えるとともに、じつに複雑な気持ちになってしまった。もっともこんな物言いをするのは被災され、犠牲になった何千何万という人にたいしてまことに申し訳ない、おこがましいことは百も承知なのだが…。米国では今回の震災がどんなふうに報じられているのかと思い、NYTimesの記事も見てみました。当初報じられていた地震の規模はM7.8でしたが、米国地質調査所観測ではM7.9。なのでTimesの記事ではM7.9となっている。けれども規模はもっと大きかったらしい。地震波はなんと地球を2周(!)もまわり、東海地震観測用の体積ひずみ計が今回の地震動を感知したらしい。それを解析した結果、M.8クラスの大地震だったのではないかという(→国内関連記事)。またすくなくとも地元紙では確認できなかったけれども、Times記事によると、本震の数分後、こんどは北京郊外の通県でも小規模な地震が発生、オフィスワーカーらが首都に避難したらしい(こちらの記事によると、M3.9の地震だったようです)。

 観光客が撮影したという地震発生時の生々しい映像をTVでも見ました。とくに岩雪崩…と言うのか、絶壁から一気に大岩が駆け下るさま、あるいは巨岩がもんどり打ちながら落下してくるさまには慄然とした。地質的には、あのへんは10億年前の花崗岩地帯と風化した石灰岩とが複雑に重なり合っているところらしい。激しい地殻変動のためか、花崗岩には細かな節理が発達して崩壊しやすいとも聞いた。現場は山また山の急峻な山岳地帯ゆえ崖崩れに巻き込まれた犠牲者もいたかもしれないが、むしろ屋内にいて崩れた建物の下敷きになり亡くなった人のほうがはるかに多かったように感じた。Times記事でもそれを物語るように、成都では建物内で被災した約4000人がいったん病棟内に運びこまれたものの極度に怖がり、しかたなく屋外で急ごしらえのテントを張って手当てに当たったという話も書いてありました。一連の報道写真を見たときすぐ感じたことですが、大地震発生とともに、多数の建物が文字どおり一瞬にして崩壊してしまったのでしょう。日常の、ごくごく当たり前の光景が一瞬のちに地獄と化す。ことばも出ない。また北京市内の高層ビルで地震動を感じたという人は、

'I suddenly felt very dizzy, as if I were heavily drunk,' said Zeng Hui, who works on the 22nd floor of an office tower in Beijing. 'I thought I was seriously ill, then I looked around and saw my colleagues felt the same way.'

というふうに言っているので、高層ビル特有のいわゆる「長周期震動」が発生したと思われます。

 またTimes記事も触れていたけれど、震源近くには有名なジャイアントパンダの臥竜保護区もあり、AFPBBサイトにもパンダとともに大地震に見舞われた人の話が掲載されています。

 また世界遺産にも指定されている、紀元前に造営された水利施設・都江堰にも被害が出ているらしい。おなじく世界遺産の、あの美しい九寨溝も気になると言えば気になる。もっともいまは――72時間はとうに過ぎてしまい、中国当局の初動体制のお粗末さが露呈したかっこうにはなったが――とにかくひとりでも多くの生き埋めになった人を助け出すことが最優先。日本のプロ救援隊も、遅きに失した感は否めないものの、とにかくいまは現地で必死に救助活動に当たっているから、まだ希望は捨ててはいけない(初動体制のまずさは、日本もよその国のことは言えない。阪神淡路震災のとき、当時の仙人然とした首相はスイスからの救援隊受け入れを断っている)。

 中国メディアはこぞって日本の防災対策を賞賛しているようですが、外側から見ればとなりの芝生は青く見えるもの。今回の震災でもっとも悲痛だったのは学校の建物の下敷きになってしまった子どもたち。では東海地震説から30年以上が経過した静岡県では、学び舎の耐震化は完了しているのか、とくるとこれがじつはそうではない。達成率はいまだ80%台にとどまっている。全国では、なんと4万棟以上もの学校の建物が耐震化されていないという。こういうところにこそ、真っ先にわれわれの税金を注ぎこむべきではないですか。そういえば「道路は生活そのもの」とかのたまわった議員がいたとか。一瞬、「道路は自分たちの生活そのもの」の聞きまちがいかと思いました(苦笑)。

 …それにしてもミャンマーのサイクロンに今回の大地震と甚大な自然災害がつづき、5月だというのにまたもや台風接近。今年の夏は、昨年以上に先が思いやられます。台風にかんしては、半分は人間の活動の原因とされる、温暖化にともなう地球規模の気象異変の一環かもしれませんが。また四川大震災については、テュークスベリー・アビイ聖歌隊員時代から広東省の山村に道路を整備する支援をつづけているアンドリュー・スウェイトくんも、おそらく心を痛めていることと思う。

2). そんななか、ウィーン少年合唱団(WSK)の理事だったオイゲン・イエッサー博士が亡くなられた、との報にも接しました。あわてて一昨年聴きに行ったときの公演プログラムを引っ張り出しました…癌だったそうです。享年62。まだまだ召される歳ではありません。WSKのシューベルト・コアが日本公演の只中での訃報でした。いまはただ、ご冥福をお祈りするほかなし。

posted by Curragh at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年11月18日

「かぐや」のとらえた地球は美しかったけれども

 先週、月探査人工衛星「かぐや」が搭載しているハイヴィジョンカメラでとらえた月と地球の映像というのを見ました。アポロ8号だったか、搭乗していた飛行士の持っていたハッセルブラッドカメラでとらえた「地球の出」の印象がこびりついている者としては、あまりの鮮明さに正直、CGかなにかで合成した映像かと思ってしまったほど。宇宙空間は大気がないからこれだけくっきりはっきりと見えるのですね。青い地球も印象的だったがなんといっても驚いたのは月の表面の映像。ほんとはこうなっていたのか、と感心することしきり。とにかくこれだけ鮮明な映像として月の表面と地球をとらえたのは快挙にちがいありません。日本もやるなあ。今後の観測調査が楽しみです。

 「かぐや」のとらえた青く輝く地球はほんとうに美しかったけれども、残念ながら海洋汚染はいまだに深刻だと思います。手許に先月だったかもっと前だったか、いつか書こうとしてとっておいた新聞記事の切り抜きがあります(いまごろ…orz)。Ocean Conservancyという米国の環境保護団体が、日本をはじめとする世界68か国で昨年実施した海岸清掃の結果、もっとも多かった海のごみが煙草の吸殻だった、というもの。やっぱりね、という感じです。西伊豆でも、黄金崎や堂ヶ島といった景勝地でふと足元を見れば、あるある吸殻。現地に行ったとき気がつけば吸殻を拾うようにしてはいるけれど(煙草を吸わない人)、なんでこうも多いのかと毎回あきれている。もちろん住民はきちんと定期的に清掃活動をしています。それでもなぜか吸殻ばかりが目につく。

 伯父の小型漁船に乗せてもらったことも何度かあるのですが、海岸から見ると、一瞥きれいに見える海もいざ至近距離から見るとけっこういろんなflotsomがぷかぷかと波間に浮かんでいます…夏みかんだかだいだいだか、なんだか知らないけれども大きな柑橘系の果実が浮かんでいたり(もっともこちらは樹から自然に落ちて流れてきたかもしれない)、ビニール袋やら釣り糸の絡みあった塊に発砲スチロールの破片とか。それでも最近はダイバーでにぎわっているから、海底のほうはそれほど汚れてはいないのかもしれない(潜ったことがないからなんとも言えませんが)。

 日本の海岸――とほかの清掃調査をした国の海岸――では吸殻が多かったようですが、海のごみで深刻な問題になっているのは釣り針・網・そしてプラスチックごみ。瓶類も多いらしい。もっとも海にごみが流れ込む原因としては台風などの風水害や津波で…ということもあるから、そちらはしようがないとしても、不法に投棄されるごみもひじょうに多い。ウミガメが餌とまちがえてビニール袋に喰らいついて窒息死するという悲しい事故もいまだに多いし、生態系に深刻な影響をあたえているのはまちがいない。

 ティム・セヴェリンが1993年に東南アジア伝統の竹筏で太平洋横断に挑んでいますが、そのとき北太平洋に漂うごみの集結海域付近にさしかかっています(The China Voyage, pp. 242-44)。ちょうど折悪しく筏の竹を繋ぎとめている籐紐が腐りはじめ、そのために竹が流出しはじめるという不吉な兆候が現れたときに、この北太平洋の「ごみため場」にさしかかった。セヴェリンがこの航海に乗り出すとき、海洋学者から航路上のごみを調べてくれという依頼を受けていたので、下田出航後、ぷかぷか浮かぶごみを見つけるたびに記録を取っていた(ヘイエルダールの孫がおこなったバルサ筏の航海でも海洋汚染調査が目的のひとつだった)。日本近海は一度、テニスコートよりは小さい油膜が広がっていた以外は「うれしいことにびっくりするほど汚染はなかった」。その後航海が進むにつれ、浮きやらプラスチックの破片やらと遭遇したものの、予想していたよりは数はそれほど多くはなかった。ところが「太平洋のごみため場」にくると、ごみの数が急増。もっとも多かったのは網にくっついている菱形の浮き。黄色や白の浮きが何百も浮かんでいてひじょうに目立ったそうです。ときおり酒瓶も見かけたとか。そしてプラスチック製品――壊れたハエたたきに車のエンジンファンに、人形にスリッパ。スリッパはなぜか女性物で、右脚の分のみだったとか。これらのごみを引き揚げると、見るも不快なエボシ貝がゴム状の塊をなしてぶらさがっていた、と書いています。

 そういう自分も、気づかないところでうっかり、ということがなきにしもあらずなので、いつも意識して行動しなくてはと思ったしだい。ちなみにOcean Conservancyの調査結果によると、回収したごみは世界で約3千トン。最多の吸殻は約190万個、ついで食品の包装・容器が約77万個、ふた・キャップ類が約70万個、プラスチックなど袋類が約69万個。日本国内では吸殻のほか多かったのは食品の包装・容器、ふた・キャップ、プラスチック製飲料ボトル。吸殻だっていまは携帯用の灰皿もあるし、心がけひとつだと思うんですけどね。

 セヴェリンの本にも書いてあるとおり、北太平洋のごみため場ではごみが半永久的にぐるぐると、おんなじ水域を行きつもどりつしている。でもいったんそこから抜け出す海流に乗ってしまえばはるか米国西海岸、つまり太平洋の反対側にまで到達してしまいます。げんに日本のごみが米国西海岸にまで流れついているという話はときおり聞きますし。「かぐや」がとらえた地球の映像に心動かされない人はいなかったはず。まずはできることから着実にこなすことが大切かと感じます。自分の吸った吸殻くらいはしっかり処分してください。

posted by Curragh at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年08月26日

ヴァイキングの復元船がダブリン到着

 これまたすこしばかし古めかしい話題でお茶を濁しますが…。

 1042年にダブリンで建造され、コペンハーゲンの南30マイル沖のロスキルデフィヨルドで沈没したというヴァイキング(ノースメン)のロングシップのレプリカ船が15日、デンマークから44日間の航海をぶじに終えてダブリン港に入ったというニュースを耳にしました(→BBC Newsサイト)。

 この復元船、これまで建造されたヴァイキング船のなかでは最大級で、全長が100フィートというから約30m、全幅4m、乗り込んでいるクルーはボランティアもふくめて65名(!)という大所帯。ほとんどすし詰め状態…だったろうと思う。

 船長はヴァイキングの末裔たるデンマーク人で、船長によると、航海中もっとも危険だったのはアイリッシュ海に入ったときで、5mの高波と強風に翻弄されたときだったとか…というか、これは完全な時化ですね。でも船長はこうつづけています。

 But he added that no one was washed overboard.

 当たり前といえば当たり前ですが、そんなことになったらプロジェクトじたいが「海の藻屑」と消えてしまう。なにはともあれ人命第一ですね。とにかくひとりも落水者を出さなくて、よかった。

 1990年代初頭、「ガイア」という名のヴァイキングの復元船が革舟ブレンダン号とほぼおんなじルートで北大西洋を横断したことがありましたが、ガイア号はなんと機関付き、つまりエンジンがくっついていた。で、乗船していたという女性の書いた航海記録(邦訳あり)を読むと、エンジン航行に頼っていたときが多すぎたとの反省の弁(?)がありました。今回の復元船Sea Stallion(海の牡馬)号はもちろんエンジンなんかは搭載していなくて、当時とおなじ風頼みの航海。時化も困るけれど、帆船でもっとも手ごわいのがべた凪(dead calm)。で、そんなときはどうしたかというと、

 The vessel had to accept a tow for a small part of the trip, when it struggled to make headway on a calm sea.

 これはいたしかたないところ。

 いまこの復元船はダブリンのアイルランド国立博物館にて展示中とのこと。博物館サイトを見ますと、今回の「試験航海」は、900年以上前に船がじっさいにたどった航路を辿るという、学術目的の航海でもあったらしい。ティム・セヴェリンもそうだったけれど、欧米ではこの手の「復元実験航海」にたいする情熱が強いなぁ、といつも感じる。日本でも葦舟の復元船で航海とか、ちょうどこのヴァイキング復元船とときおなじくして伝統和船「七丁櫓」が御前崎港−松崎港まで駿河湾横断航海を成功(今月8日)するなど聞きますが、向こうは盛り上がり方がすごい。BBCではこんな特設ページを用意していますし。こういうのを見ると――ひどい夏バテにもかかわらず――こっちまでワクワクするというか、血が騒いでしまう。

 6月に横浜みなとみらいでポリネシアの伝統帆船(カタマラン)のホクレア号を見てきたばかりですが、こういう古代帆船がベイブリッジとかランドマークタワーとか現代の建造物のただなかを悠然と、いにしえよりタイムスリップしたかのようにさっそうと寄港する姿を見るのは、理屈ぬきで楽しい。

 もっともこの手の復元航海はたいていが国際的な事業、つまり平和でなければできない。かつてヘイエルダールは復元葦舟ティグリス号でイエメンに寄港しようとしたが、当地の政情不安のため航海を断念、抗議の意味もこめて、せっかく建造した葦舟に火を放って燃やしてしまったことがあります(四半世紀以上も前)。ヘイエルダールはこのときの航海のもようをNational Geographic誌に寄稿していて、赤々と炎上するティグリス号の写真が強く印象に残っています。

 →Sea Stallion航海プロジェクトの公式サイト

posted by Curragh at 21:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年08月18日

またしても地震

 またしても大地震。こんどは太平洋の反対側ペルーでした。日本もかの地も環太平洋火山帯なので、大地震の危険はつねにある(メキシコに米国西海岸、アリューシャン列島も)。日本では数年前から千葉近辺で中規模の地震がたびたび発生しています。ここ数日、連続しているのも気になる。先月には中越沖地震もあったばかりですし…ここ最近ちょっと地震が多すぎる気がして、東海地震の想定震源域に住む者としてはやはり不安になります(2004年も多かった。もっとも緊張したのは東南海沖で地震が発生したとき)。ちょうどおりよく(?)ある週刊誌には東海地震予知連委員のひとりが20日に、想定震源域内であらたに見つかった「危険性」について「緊急発表」するかも…との記事も載ってましたし。安政東海地震以来、153年間も沈黙しているというのはすくなくとも歴史上では前例のないことですし、覚悟(とできるだけの準備)はしているのですが。

 しかし…ペルー地震を報じる夕刊を開き、たぶん聖母被昇天を祝うミサをあげていた最中であろうピスコの教会では天井が崩落、参列していた信徒約300人が下敷きになったとか、いっぺんに自分以外のほとんどすべての家族を失ってしまって途方に暮れる男性の話とか目にしますと、もう絶句するほかない。妻子と兄弟、母親を失ったという男性は記者にこうつぶやいたという。「どうしてぼくだけ生き残ったんだろう?」。

 ちょうど10年ほど前、おなじく地震国イタリアでも大きな地震があって、聖フランチェスコで有名なアッシジがたいへんな被害を受けた。そのときも、歴史的に貴重な建造物であるサン・フランチェスコ聖堂のドーム部分が崩れ落ちて10名ほどの修道士が犠牲になったことを思い出しました。

 英語ではときおり、人間のことを永遠不滅な「至高者」と対比させてmortal being(s)と表現したりする。人はみないずれは死すべきさだめとはいえ、いっぺんに多くの命が失われるのはやはり悲しい。

posted by Curragh at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年08月13日

国連サイトが改竄された

 先日、TVで見たさる若手写真家のことでも書こうかと思っていた矢先、こんなとんでもないbreaking newsが飛びこんできまして、面食らっています。↓

-------------------------------------------------------------

【8月12日 AFP】国連(United Nations、UN)の公式ウェブサイトが12日、何者かにハッキングされ、米国とイスラエルの中東政策を非難するメッセージが表示された。

 ハッキングされたのは通常は潘基文(バン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長の声明が表示されるページで、「Hacked By kerem125 M0sted and Gsy That is CyberProtest Hey Ysrail and Usa dont kill children and other people Peace for ever No war.」という文字が数回繰り返して表示された。

 このメッセージは事務総長の発言やスピーチが掲載されるページにも表示されている。

 ハッキングされたページのアドレスはhttp://www.un.org/News/ossg。(c)AFP

(引用元記事)

--------------------------------------------------------------

 なんとまだ(13日1時35分現在)クラッカーどもに書き換えられたページはそのまま晒されているというので、ふだん見たこともない国連サイトに飛んでみました…するとまだほかにも改竄されたページがありますね…。

 いつだったか三島市の公式サイトがクラッカーに改竄されたサイバー攻撃事件がありました。その前には地元新聞社の運営するサイトも――たしかそのときは価格コムも――クラッキングされた。このへん素人だからわからないけれど、そんなにかんたんに不正侵入できるものなのだろうか…Webサーバ侵入専門のRootkitとかなにかツールでもあるのだろうか? 

 改竄ページのHTMLソースを見ると、<!--include virtual="/apps/news/constring.asp" --> とか宣言してあるから、もとのサイトもIISの同梱されたWindows Server系でこさえているのだろうか…。

 …と思っていたら、その間上記改竄ページが復旧したもよう。なんとも人騒がせな輩ですが、もし自分のサイトがやられたら…と思うと他人事ではないですな。

 …でも今回の騒動、事務総長関連ページで定期メンテナンスの告知があるけれど、メンテナンスと呼応するかのように起きているのは…やや引っかかるところではある。


crackedpage.jpg

↑改竄された国連サイト内のページ画像。



posted by Curragh at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年08月06日

広島原爆忌

 62回目の夏を迎えた広島。「FMシアター」でも原爆忌にあわせた内容のドキュメンタリードラマ、「兄と弟・広島に生まれて」をやってました。図書館から借りた本を読みながら聞いていたのですが…出征した兄(養子)はアンボン島で戦犯の罪を着せられ銃殺刑、語り手である弟のほうは広島で被爆、肉親や兄弟を放射線による深刻な後遺症でつぎつぎと亡くし、みずからも癒えることのない深い傷を心身ともに負い、長いあいだだれにも話せず心の奥底に封印していた戦争・被爆体験をいま、ようやく子どもたちに伝えようとされている方の物語でした。…それにしてもなんとむごい話だろうか。

 日系米国人監督スティーブン・オカザキ氏の記録映画「ヒロシマナガサキ」。地元紙にも関連記事が掲載され、またいまさっきも民放のニュース番組で取り上げていたので見たのですが、このままでは被爆者の方は報われない、と暗澹たる気持ちにならざるを得なかった。1945年8月6日になにが起きたのかと訊かれて「わかんない」だの「知らない」だのというこたえを平然と返す若い人にも唖然とするが、生存している被爆者の方の高齢化…を考えると、核兵器を落とされたただひとつの被爆国に住むひとりひとりが、8月6日と9日に広島・長崎にいったいなにが起きたのか、ということをいま一度知らなくてはならない。人道上許しがたい兵器はいくつもあるが、やはり核兵器は子々孫々まで深刻な影響を及ぼしつづけるという点で、人間が考案した兵器のなかでは史上最悪、悪魔的兵器だと思う。これはけっして「必要悪」なのではなく、けっして「使ってはならない」兵器で、絶対悪です。RNEPだったか、米国は都市圏を狙う「使える核兵器」の開発をしようとしているらしい。いまは専門家も軍部も「使えない」デメリットとリスクのほうが大きすぎる、として開発は中断状態らしいですが、なんとも空恐ろしい話ではないか。

 平和祈念式典ではふたりの子ども代表が、憎しみの連鎖をどこかで断ち切ること、たがいを認め合う寛容さがいまこそ必要だ、というような内容を訴えていましたが、まったくそのとおりです。とはいえまことに遺憾ながら、旧約聖書のころからいがみあってきた土地柄であるパレスチナ問題とか、原理主義組織による無差別テロとか、いまだに「憎悪の悪循環」はいっこうにやむ気配がないようにも見える。これらにくわえて経済格差に根ざす紛争とか、環境悪化に伴う地域間の争い(とくに水)とか、いろいろ複合的要因があって、さらに事態は複雑化していて、なかなか解決が困難になっているのも事実。それでも「正義のための戦争」なんてないんだということをひとりひとりが声高に訴えつづけるしかない。被爆者の方の苛烈な体験を風化させるものか、という強い意志が必要だと思います。

 民放ニュースを見ていたとき、ふとYouTube など動画配信サイトとかを活用してかつての敵国だった米国民にももっと広島・長崎の体験を伝えるべきでは…とか思っていたら、この記録映画は米国のあるCATVネットワークで今後ひと月のあいだ、放映されるらしい。これはとてもすばらしいこと。とにかくひとりでも多くの人に――彼我を問わず――「事実」を知らせなくてはならない。残された時間はあまりないことですし…。最大の敵は、被爆体験の風化と忘却。これだけはなにがなんでも避けなくては、ビキニ環礁で被爆して亡くなった人、米国やフランスなどがおこなった大気圏内核実験で被爆して亡くなった人と、いまなお想像を絶する苦しみに耐えつづけている被爆者の方にとてもじゃないが申し訳が立たない…気がする。ラジオドラマでは、語り手である主人公が被爆したとき、崩れ落ちた瓦礫に生き埋めにされた同級生が「仇をとってくれ!」と言い残して息絶えるシーンがあります…後年、同級生の母親に会った片山氏は、そのときはっと気づいたそうです。「このつらい体験をつぎの世代に語り継ぐことこそ、彼の仇をとることなんだ!」、と。

 …ラジオドラマの結末近くで、語り手の片山氏にたいして中学校の先生が、「『戦争は悪』だとか、『原爆は悪』だとか、政治的な発言はしないでほしい」と念押ししていた場面がありました。この部分、はたして実体験にもとづいているのか、それともドラマの脚色なのか判然としないが、いずれにせよ自分がもっとも慄然としたのはこの場面でした。政治的発言だって?? こんな非常識極まりない先生がげんに子どもたちを教えているのだろうか…と驚愕しました。そのとき頭に浮かんだのが、昨年、各地の高校で世界史や日本史の未履修が問題化したときのこと。いまのわれわれの生は過ぎ去った歴史の延長線上にある。これからの世代をおなじ過ちで苦しめないために、まずもって過去の歴史を学び、知ることは絶対不可欠のこと、義務であるはずです。歴史の軽視…ドラマで耳にした「衝撃的発言」をする教師とも、どこか通じるところがある。

 シュヴァイツァー博士はある集まりで、「われらはみな亜流者ではないのか」という疑問を耳にしたとき、現代文明の退廃を招いているものの本質をとらえた発言として天啓のごとく受け止め、のちに『文明の退廃と再建』という著作にまとめた。その本の続編(『文化と倫理』)には有名な「生命への畏敬」という考え方が出てきますが、いまの世の中、見渡してみると第1次世界大戦前の世界とたいして変わってないんじゃないかという気もしてくる。歴史はけっして軽んじてはいけない。

 そんな折、イタリアの弁護士ら4人がイタリアの子どもたちが折ったという千羽鶴を広島・平和公園内の「原爆の子の像」に捧げるために、大型バイクを連ねてユーラシア大陸を横断する、という話(→関連記事)には勇気づけられた。イタリアの小学生が、Webで折り方を習得して千羽鶴を折った、というのも感動しますが、ぶじに子どもたちの思いのこもった千羽鶴が届けられるように祈っています。

posted by Curragh at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年08月05日

水の事故には気をつけて

 ここ数日、水難事故がちょっと多すぎる…気がします。台風の影響でどこも河川は増水していますね。ダムから放流…しているというのに川遊びに行くというのは、やはり無謀ではないかと思います。海では、きのうもふたりの中学生の男の子が河口(!)を泳いで対岸へ渡ろうとして沖へ流され、まことに残念ながら遭難地点から2kmも離れた海岸で遺体で見つかったり…。西伊豆でもふたりの方が命を落としています。

 連日暑いので、川遊びや海水浴はたしかに魅力的です。でもたとえば「遊泳禁止」とか「ダム放流中」とか立て札が出ている場所ではまずいでしょう。危険な水域というのは理由があって危険なのだから…毎年のように水難事故の悲報は聞きますが、とくにこれからがある子どもたちの遭難の報道を聞くのはつらい。

 これは独断だけど、以前にくらべて、自然をあまく見ている人がいまはひじょうに多いように感じます。数年前にも神奈川の酒匂川だったか、中州でキャンプしていた人たちが流されたり取り残されたりといったことがありましたね。山登りもおんなじだと思うが「ここから先は危険だから引き返す」という判断ができない人、とくに歳相応の経験を積んでいるはずの大人にそんな人が多いように思います。

 だいぶ前、風景写真雑誌で著名な風景写真家の先生が、「わたしは危険がわからない、なにかあったらどうしよう」というのがいちばん困る、みたいなことを書いていたのを思い出します。天候が急変したり、体の調子がおかしいと感じたら即、安全な場所まで撤退するくらいの判断はできないとまずい。酒を飲んで…と、これは論外。

 半年ほど前に知ったのですが、昨年11月、聖ブレンダン出航の地とされるアイルランド西海岸ディングル半島のブランドン入江(Brandon Creek)でも、そのような不幸な海難事故がありました(→関連記事)。地元の会社に雇われていたポーランド人の30代の男性が入江の口付近の崖から海へ落ち、そのまま行方不明になって沿岸警備隊とか地元漁船とかが捜索に出て大騒ぎ、なんてことがあったそうです…なんでも断崖に砕ける波を背景に、友人とともに記念写真を撮っていたときに突然の大波に呑みこまれてしまったとか…その後男性の遺体があがったかどうか…は不明。

November 2006 Swept away

The Irish Coast Guard was put on full alert recently as Polish national, Adam Juniewicz, was washed from rocks near Brandon Creek. Mr Juniewicz (34) worked for local man Mike O’Shea’s company Irish Rope Access. Mike is a long serving member of the Dingle Coast Guard and at during the search, did not realise that he was searching for one of his own employees. When news filtered through of Adam’s loss, the rest of Mike’s 20-strong staff joined the Coast Guard in searching for their collegue. Now considered a search for a missing body, at the time of going to press, Navy divers were continuing sweeps of the area. The Irish Skipper extends deepest sympathy to family and freinds of Mr. Juniewicz.

 とにかく無茶をしないことが――ありきたりの結論だが――いちばんですね。

posted by Curragh at 20:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年07月27日

1. テュークスベリー水没!!

 20日ごろから豪雨に見舞われているイングランド南西部。英国在住の日本の方のblog などでかの地の大雨のことを知り、そうとうひどいことになっているな…と思っていた矢先、この大雨が60年ぶりという記録的な豪雨で、テムズ河やセヴァーン河(Severn は「セヴン」のように発音されるらしい)など主要河川の堤防が決壊、氾濫しているという記事が地元紙朝刊にも掲載されていました…で、いっしょに掲載された写真をよくよく見てみると、洪水で水没した道路脇に立つ案内標識の文字に目が釘付けになりました。Tewkesbury! 今回の豪雨で最悪の被害を出したのがなんとグロスターシャー州で、とくにテュークスベリー周辺はほぼ水没状態だということを遅まきながら知りました。

 そしてこちらの日本向け記事の写真を見てまたびっくり。アビイ・スクール聖歌隊の本拠地の大聖堂(もとは名前のとおり大修道院付属の教会)がまるで孤島のごとく突き出しているではないですか! 

 24日付けNYTimes にも英南西部の洪水被害をAP伝で報じていました。テュークスベリー上空から撮影した画像を見ると、これは想像をはるかに超えた大水害です。

 今年の「3聖歌隊フェスティヴァル」は洪水被害を被ったグロスターの大聖堂が舞台。公式サイトを見たら、やはりこちらも被災しているようで、チケット売り場を一時的に閉鎖していたみたいです(25日現在)。

 テュークスベリー・アビイの公式サイトにも今回の洪水被害について記事がありました。写真を見ると、聖堂内部も部分的に浸水しているようですね(→Daily Mail 紙の記事)。

 詳細はわからないけれど、こんなひどいありさまで、'Tewkesbury Abbey Schola Cantorum' 、もとアビイ・スクール少年聖歌隊は2度目のフランス公演に出かけているのだろうか(予定では明日が公演最終日)…??? チェルトナム・カレッジに在籍しているアンドリューくんのほうも気がかりではあるが…。

 米国でもテキサス州やオクラホマ州でやはり洪水被害があり、中国でも先週、150人以上も犠牲になった水害があったばかり。日本では相前後して台風4号に中越沖地震があったばかり。そして南欧では熱波、ギリシャ・アテネでは気温がなんと45度(!)を超え、またイタリア南部では熱波が原因と見られる山火事も発生。いっぽうの英国では肌寒いくらいの陽気と大雨で、「いつまでたっても夏が来ない…」という嘆きの声が。

 今月は世界各地で自然災害があいつぎました。北半球で進む温暖化…とも関連があるのかもしれない。日本も本格的な台風シーズンはこれからだし、これ以上の被害がないことを祈るしかありません。

posted by Curragh at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年07月16日

最悪のタイミングだった

 7月に上陸した台風としては史上最強と言われた台風4号(国際的表記ではTyphoon Man-yi)。予測よりだいぶ東へそれて、すわ伊豆半島上陸かと身構えていたけれど、けっきょく石廊崎をかすめてそのまま太平洋上へ去っていった。一睡もしていなかったので、やれやれと思い、かけっぱなしにしていたNHK-FMで「バロックの森」を聴きつつIMソフトを起動、たまたまお相手(英国)がいたのでほんのすこしだけ会話したあと、「ミュージックプラザ」の再放送でブルックナーの「ロマンチック」を子守歌がわりにして寝てました…気がつくと「みんなのコーラス」。元気な小学生の歌声を聴きながらまどろんでいたら、いきなり地震速報が。またしても新潟あたりで大きな地震があったらしい。震源がどこかはわからなかったが、津波警報まで出ている。

 そしてこれも偶然ではあるけれど、「弾き語りフォーユー」でLibera率いるプライズマン氏の「千の風('Do not stand at my grave')」を小原さんが弾いてくれるというのでエアチェック。その後あらためてNHKの地震関連ニュースを見たら、なんと原発の建物からもうもうたる黒煙があがっているではないか。ここ連日ずっと雨が降りっぱなし、ようやく台風とともに雨もひと息、というまさにそのとき、間髪入れずにこんどは地震。地盤がそうとう緩んでいるというのに、これは最悪のタイミングとしか言いようがない。

 NHK-FMは休日恒例の「今日は一日○○三昧」の日だったので、あいまに地震関連ニュースが入りましたがいちおう予定どおり番組続行。こんなときにハワイアンか、とはじめは思ったけれども、ゆったりした独特なリズム感の音楽は思いのほかよかった。こういうときだからこそ、かもしれない。いまはやりの言い方で言えば、ロハスな音楽なのでしょう…身も心も揉みほどしてくれる、そんな音楽。

 しばし聴いていたら、「ヘメレ・ケイヤ・ノ・ホクレア」という歌が…歌詞に、聞き覚えのある固有名詞が。あれれ、これホクレアの歌だ! 歌っている女性歌手が、ホクレア号がはるばるハワイから日本めざして航海する、という話を聞いて作ったとか言ってました。Hokule'a って「幸せの星」という意味でしたね、ホクレア号の応援歌みたいな曲でした。

 地震…については、先週、地元紙にちょっと気になる記事が載っていました。海上保安庁がGPSや海底に設置した基準局での観測の結果、御前崎沖約60kmの海底が、この5年で、年間3cm 西北西に移動していたことがはじめて判明したというのです。

 承知のとおり御前崎沖海底というのは、その真下が東海地震の想定震源域。陸上でも同様の観測結果が出ているので海底でもおなじような動きをしていることが明らかになったわけですが、それにしても年間3cm ですよ! 10年で30cm、100年で3m!! 安政東海地震から今年で153年が経過しているので、その間約4.6mは移動していることになる。これはたいへんなことです。

 いまさっきNYTimes に行ってみたら、今回の震災がトップページで大きく報じられていました(→記事)。

 …その後余震があいついでいます。一刻も早く収まることを祈るのみ。

 被災された住民の方には心からお見舞い申し上げます。

posted by Curragh at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年06月05日

Westminsterのバッハ

1). ハネケンさんこと羽田健太郎氏が急逝された。享年58。肝細胞ガンだったらしい。先月中旬から体調をくずされ入院していたらしい。あまりに急な悲報で、正直、ことばもない。とにかく若すぎます。

 合唱つながりで言えば、羽田氏は東京少年少女合唱隊OBでもある。たしかに最近、「題名のない音楽会21」を見ても、なんかやつれたというか、顔がひとまわりスマートになってしまって、大丈夫かなとは感じていたが…残念としか言いようがない。

2). 先日も書いたBBC Radio3 のChoral Evensong。番組終了直後の番宣で、「水曜日にウェストミンスター・アビイ聖歌隊によるバッハ」をやるとの告知が。さっそく先週の放送内容をチェックしてみたら、Performance on 3 という、「ベスト・オヴ・クラシック」英国版みたいな番組でオンエアしていたらしい。

 ストリーミング放送を聴いてみたら、この日収録された演奏はBWV.226とBWV.229のモテットふたつと「ルター派のミサ ヘ長調 BWV.233」、散逸した教会カンタータの一部と考えられている断章を復元したかたちで演奏された「ニ長調のシンフォニア BWV.1045」、教会カンタータ「偽りの世よ、われ汝を頼らず BWV.52」と聖霊降臨祭第一主日用教会カンタータ「おお永遠の炎、おお愛の源よ BWV.34」。最後にマレイ・ペライヤのピアノで二曲、オルガンコラールのピアノ編曲版をかけていました。うちひとつは豊かに装飾された定旋律がとても美しく、感動的な「いざ来ませ異邦人の救い主よ BWV.659」。自分もこのオルガンコラールは大好き。

 まったく偶然のことながら、BWV.226は1729年、トマス・カントルに就任してまださほど年月の経っていないバッハが、当時のトマス学校長でライプツィッヒ大学教授でもあったエルネスティの葬儀用として作曲した「葬送モテット」。なのでウェストミンスター・アビイ聖歌隊コリスターたちの清らかな歌声に耳を傾けつつ、ハネケンさんを偲んでいたのでありました。

 モテットといえば、ECMからもヒリヤード・アンサンブル盤が出ましたね。

 'Abbey Choir'とも呼ばれ、親しまれている英王室ゆかりの聖歌隊の音楽監督ジェイムズ・オドネルは2000年にオルガニスト兼少年聖歌隊長に就任、顔写真ではけっこう若い人に見えます。収録された演奏では、聖歌隊員にドイツ語の発音を徹底させたとかインタヴューでこたえてました。

 バッハの教会・世俗カンタータ…についてはあんまり聴かないから口幅ったいことは言えませんが、カンタータBWV.52の出だしのシンフォニアは「ブランデンブルク第1番」第1楽章の転用なので、とっつきやすいと言えばとっつきやすい。聖霊降臨祭用のカンタータBWV.34 のほうは、最後の合唱で盛り上がる部分、まるで天の高みから降り注いでくるかのようなボーイソプラノの力強く、清冽な響きがひじょうに印象的でした。

posted by Curragh at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年05月26日

Cutty Sark が…

 カティ・サーク号の悲報を聞いたときはほんと驚きました。

 カティ・サーク号は1869年に建造された、最後のクリッパー型帆船として有名で、経度0の通るグリニッジに「永久保存」されています…ところが展示が開始された1957年以来半世紀、風雨にさらされつづけた結果、船体に付着した海水の塩分がビルジに流れ、船を形作っている鉄骨フレームの腐食が激しくなったため、昨年11月に全面的改修をすべく係留場所から特別に作られたドックに引き揚げられました。総工費2500万ポンドをかけた改修プロジェクトのまさに真っ最中にこのようなまことにショッキングな事態になってしまった。

 BBCニュースサイトNYTimes、Guardian のサイトなんかを見てみますと、現場はむろん火の気などなくて、あるのは金属と木材のみ。どう考えてもarson つまり放火らしい。もっと悪い。

 しかしながらマストなどの全艤装品に船長室をふくめた全甲板室、船体下部の木材のほとんどは鉄骨材の防腐処理のために取り外されていて被災しなかったことは不幸中の幸いだったと言うべきか。あれだけの炎に包まれ、爆発物(ガスボンベ)があったために周辺住民の避難を優先させたりと消火に手間取り鎮火したのが通報から約2時間後だったという不幸も重なったとはいえ、船首と船尾、そして船底部の木材はかろうじて焼失をまぬかれた(これには消防士が放水しつづけ、燃え尽きるのを防いでいたためもある)。なので、「船体の復元は可能」だろうと言います。監視カメラには火が出る直前、数人の人影が写っていたようで、消防当局と合同で捜査に当たっている警察は、目撃情報提供を呼びかけるとともにこのカメラの映像を分析中とか。「シルバーの車が現場から走り去った」という目撃証言もあるとのこと(いまのところは火災との関係は不明)。

 文字どおり紅蓮の炎に包まれた写真をはじめて見たときは――帆船好きとしては――かなりショックでしたが、いろいろ記事を見ると完全焼失ではなく、修理は可能かもしれない…ということなので、とりあえずは「最悪の事態」ではなさそう。しかしながらカティ・サーク号の保存にあたっている財団の専門家によると、今回の火事でもっとも心配なのは鉄骨フレームの被災状況。これさえ原形をとどめていれば復元できるかもしれないが、万一、火炎の熱で変形していたら復元修理は困難になるという。

 とはいえ…いったいだれがなんのために、建造されて140年近くも経過した老帆船に火をつけようと考えるのか。まったく理解できない。はやく犯人を検挙してもらいたいところです。

posted by Curragh at 23:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年05月21日

AmazonがDRMなし楽曲ストアを開設

 先週、目にとまったNYTimes 記事三題。

1). こちらの記事を見てちょっとびっくり。Amazonが、iTunesのような楽曲ダウンロード販売ストアを年内にはじめるというニュース。ここで重要な点は、デジタル著作権管理機能(DRM)、ようするに「コピー防止保護機能」なしで提供するという点です。

 せんだって音楽ダウンロード販売サイトの火付け役Apple社のスティーヴ・ジョブズが「音楽ファイルのDRM撤廃論(→'Thoughts on music')」を公開書簡というかたちで突きつけて音楽業界を騒然とさせたばかり(とはいえ最初にこのような「規制」にたいして懐疑的だったのは、Apple のFairPlay 解除コードを自社製品に搭載したことでAppleとごたごたになったReal Networks 社長のジョブズ宛てメールだったと思うが、ジョブズはこのやり方では煩雑になるとしてライセンス制についてはいまだ拒否。合法的に買った音楽に規制をかけていることが脱法にあたるかどうかについては欧州各国で問題になり、ノルウェイ議会はApple にたいして10月まで改善するよう求めてもいる)。

 アルバムの売り手であるレコード産業側からすれば、「自分たちに責任転嫁しているだけ」と言えなくはないけれど、ここは勢いに乗っている感ありのジョブズの主張のほうが一枚上手のような気がします。たしかにわれわれ一般の音楽ファンにとってみれば、DRMとかないほうがいいに決まっていますし。

 そんななか、ジョブズと手を組むということなのか、EMI が先月2日にiTunes Store で販売する楽曲からDRMを撤廃すると発表。またUniversal Music も「DRMフリー」楽曲販売についてGoogle と協議したとか(Universal側は公式には認めてはいないけれども)。こうなるとほかのメジャーレーベルはやはり旗色が悪くなるでしょうね。

 そうは言っても自分はたぶんこの手のアルバム単位ではない、「一曲一曲、せんべいよろしく切り売り」というダウンロード販売スタイルはなじめないし、買う曲じたいもクラシック系はどうしても長くなるので、いままでどおりCDというかたちになるとは思う。でも――Apple のほうが計算高いことは見え見えだが――ジョブズの言っていることはいちおう納得いくものだし、すくなくともここにきてようやく、CCCD 以来つづいてきた流れは音楽愛好家に利する方向へと風向きが変わってきた、ということは言えるでしょう。

 EMIがDRMを撤廃…なんだか数年前まで、おなじ会社(国内盤の旧東芝EMI)がウィーン少のアルバムまでCCCD で売っていたことを思うとなんかキツネにつままれたような気もしないではない。CCCD と言えば、BAC のベスト盤もそうだった。自分はこのような妙ちきりんな「規格外CD」、いや「CDもどき」を平然と売りつけるレーベル側の傲慢さに腹が立っていたし、げんに某S社のように、悪質なrootkitまで(!)混入させて売り、なにも知らずにWindows マシンに入れてしまったエンドユーザーが大迷惑をこうむった一件も記憶に新しいところです。そこまで一般の音楽愛好家を敵に回せば、売り上げが過去最大規模の低迷…というのもうなづけるお話。そんなときに出現したのがiPod であり、格安で楽曲を提供するiTunes のダウンロード販売サイトでした。いまや空前の大成功をおさめたおかげで、Apple社の業績や株価を好転させたばかりか、音楽業界に発想の転換を迫るまでに力を増しています(いま問題になっているrootkitについてはまた後日)。

 いずれにせよAmazonの試みは、「DRMフリー楽曲」が本格的に定着するかどうかの試金石になることだけは確か。NYTimes 記事の末尾は、音楽業界は生き残りの道として楽曲は無料、広告収入のみで運営できるようなサービスのあり方も考えるべきだとする業界ウォッチャーの大胆な主張を紹介して結んでいます。

2). SNSの元祖みたいに言われるMySpace。こちらの記事によると、なんでも性犯罪者がごまんとlurk しているようで…前科のある利用者をあぶりだすシステムをニューヨークの企業に委託して構築したとか。もともと弁護士から情報提供を求められていたMySpace側が、11年前に制定された「電子通信プライバシー法」に抵触しない範囲で提供に協力すると発表したものですが、弁護士団体ともめているのは「召喚状のあるなし」について。弁護士団体代表は「自分たちの求めているのはサイトに何人、有罪判決を受けた性犯罪者がいるのか」といった召喚状などハナから不要な情報なので、失望したと言っています。日本でも某サイトについていろいろ問題が噴出してきているようですが、SNSもメーリングリストも、この手のサイトにはどんなオオカミがいるかわかりません(自分も以前、たいしてことではなかったが少々痛い目に遭ったことがある)。最近のコンピュータウィルスも悪質で、カード番号が盗まれたりと実害が出てひじょうに困るけれども、常識とよくよくの注意が肝要、ということしかないですね。自衛するしかありません。

3). 最後にこちら。来月、環境問題についてはおそらく世界一やかましいドイツでサミットが開かれるそうですが、へぇ、Web上で動く「炭酸ガス排出量計算機」ですか。いったいどんな仕掛けなのかさっぱりですが、Web発祥の地らしく、「双方向性」とか「瞬時に情報を共有」といったメリットを最大限に活用していますね。

 極論を言えば、日曜の夜に見た某TV番組のように、洞穴住居に住み、電気もガスもない、完全な自給自足生活が理想なんだろうが…'Kyoto Protocol' を批准し、削減目標の実行が来年に迫っている手前、各自できることからはじめるしかないのでしょう。とはいえせめてこういうアイディア、批准さえしていない米国ではなくて日本から出してほしかったとも思います。すくなくともわれわれは欧州の人たちより炭酸ガス排出抑制については――国際会議を開催し、その結果作った議定書を批准しておきながら――あんまり真剣には考えていないですし。もし個人も産業界も真剣に取り組んでいるのなら、風力や太陽といった自然エネルギー発電がもっと増えていいはずですし、むりな場合はべつにして「車はひとり一台」ということもやめるべきだと思いますし。こういう記事を見ますと彼我の意識の差をどうしても感じてしまいますね(環境ついでに自分は某環境保護ロビイスト団体が大嫌い。日本の捕鯨にたいする抗議行動はいつものことだが、すくなくともヨウスコウカワイルカについてはなにもしてはこなかった。鯨類の絶滅は有史以来はじめてだという)。

posted by Curragh at 04:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年04月28日

Ruotaの衝撃

 今月は気象も異常だったが、事件・事故・災害も多すぎました。以下、気になったものだけ書き出しておきます。

1). 熊本市の慈恵病院がはじめた「赤ちゃんポスト(「こうのとりのゆりかご」)」。地元紙の特集記事にてはじめて知ったのですが、この発想じたいはそうとう古く、1188年、南仏マルセイユの病院に設置されたのが最初らしい(いまひとつは1198年、ときの教皇インノケンティウス3世の命によって建てられたサント・スピリト病院という伝説もある)。当時の名称がruota(=wheel)で、母親が赤ん坊を修道院に置き去りにするとき、赤ん坊を回り舞台のような円盤に乗った箱の中に置き、円盤をくるりと回転させると鈴が鳴り、修道士がかけつけるという仕掛けからそう呼ばれたらしい。たしかに中世ヨーロッパの修道院には救貧院や病院に相当する施設があったけれど、捨て子ポストみたいなものまで考案していたとは寡聞にして知らなかった。そしてそれが19世紀までつづいていたことも。イタリアでは事態はいまだ深刻で、捨て子があとを絶っていない。慈恵病院が参考にしたシステムはドイツのもので、ドイツでははやくも7年前にこの「最後の救済手段」を導入したものの、やはり賛否両論で国論は二分されているようです(こちらの記事)。

 「こうのとりのゆりかご」導入を決めた慈恵病院もカトリック系の病院なので、現実に捨てられ、幼い命を落とす子どもをひとりでも多く救いたい、捨て子を看過できない、と考えぬいた末の決断だったろうと察します。とはいえいまは捨て子にされる理由は暗黒時代のヨーロッパとはちがって、ほんとうに生きるか死ぬかの瀬戸際に追いこまれて八方手詰まりでしかたなく、というものではあるまい。あまりに身勝手で一方的な大人の都合による捨て子が大半ではないですか。中世ヨーロッパの人が21世紀の世界を見たら、見栄えこそ洗練され、モノがあふれる光景に圧倒されはしても、こと捨て子問題については自分たちのときとちっとも変わってない、と嘆くにちがいありません。

2). 米国で起きたおぞましいmass shooting。いかなる理由があろうと、犯人は許されるものではありません。とはいえ今回の悲劇は、またしても「銃社会アメリカ」をまざまざと見せつけられました。TVニュースで見たのですが、近所のコンビニよろしく、当たり前のようにガンショップが近所にある。そんな銃砲店を当たり前のようにふつうの人が訪れては、30分ていどの審査で服を買うみたいに手軽にピストルやショットガンを買ってゆく。そのあまりの異常さに寒気を憶える。事件が起きたばかりでまだ犯人の特定もできていないとき、NYTimes社説はこんなふうに書いてありました(下線強調は引用者)。

' ... Sympathy was not enough at the time of Columbine, and eight years later it is not enough. What is needed, urgently, is stronger controls over the lethal weapons that cause such wasteful carnage and such unbearable loss.'


…とはいえ現実の米国社会を海の反対側から見てみますと、「全米ライフル協会」や銃器製造会社の力のほうがはるかに強大なので、銃の乱射による第二、第三の大量殺人は残念ながら防ぐことはできそうにない。昔、米国の暗部をえぐる「アメリカン・ヴァイオレンス」という記録映画を見たことがありますが、開拓時代以来の銃依存という構造じたいはちっとも変わっていない。いくら「人種の坩堝」だからといって、ふつうの人がふつうの暮らしをするのに武装しなくてはならない国なんてどう考えてもおかしい。そんな国の現大統領というのが筋金入りのfundamentalistなのが、なんたる皮肉かとも思う。また、大学側の対応にも大きな疑問符が。最初の銃撃があってから2時間以上経過したあとで発生した2度目の銃撃まで、学生への注意喚起がたった一通の電子メールというのがまたわからない。校内放送ですぐさま授業を中断、避難を呼びかけることはできなかったのだろうか。そうするとパニックになるとでも思ったのだろうか。一刻を争う緊急事態にPCのネットワーク網経由で連絡、という発想もやっぱりわからない。携帯大国日本では、これがPCのメールではなくて全学生の携帯電話向けに同報メール、という形になったところかもしれませんが(まだそのほうがましだったかもしれない)。

3). そうこうしているうちにD.ハルバースタム(73)、K.ヴォネガット(84)、そしてロストロポーヴィチ(80)の各氏があいついで亡くなった。ハルバースタム氏は取材に向かう途中で事故死、ヴォネガット氏については転倒して頭部を強打したことが原因らしい。そして大チェリストのロストロポーヴィチ氏…いずれにしても「巨星堕つ」。冥福をお祈りします。

 地元紙の夕刊に、米国文学者巽孝之氏によるヴォネガット追悼文が掲載されてました。記事中、1984年、国際ペン大会出席のため初来日したときのエピソードがこんなふうに紹介されています。「核状況下における文学」というテーマで大江健三郎、フランシス・キング氏らと登壇したとき、

 「核弾頭には子どものオモチャをつけ、指導者たちには詩あるいは俳句を送りつけよう」

とユーモアたっぷりに語った、と言います。NYTimes の追悼記事によると、ヴォネガット氏が広島の原爆投下とからめて書いた『猫のゆりかご』は米国の高校で国語の教材として使われているらしい。また巽氏はヴォネガットの作品はかの村上春樹氏にも多大な影響をあたえていることも指摘しています。そしてこんどは村上氏の文学が英訳をつうじて米国の若い作家に影響をあたえている。ちょうどこの時期、日本ではどういうわけかキナ臭い改憲論が――国民そっちのけで進行中。困ったもんだ。ほかにもやるべきことが山積しているというのに…。

* 記事中、不正確な箇所があったので一部訂正しました。

posted by Curragh at 23:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年04月09日

なんと富士山の反対側にありました

 本日はいろいろとごたまぜで書きます。m(_ _)m

1). 『星の王子さま』に登場する「計算ばっかしている実業家」の原画がなんとなんと山梨にあった?! というニュース。ちょっとびっくりしましたね。散逸したと思われていたバッハの「結婚カンタータ」の自筆パート譜が日本にあったというニュースを聞いたときもびっくりしましたが…。エジプトだけでなく、日本国内も探せばなにかすごいものがまだまだ出てくるかも知れませんね。

2). NYTimesこちらの記事。なんでも米国人のあいだでは「多忙病」とでも言うべき現象が起きているらしい。忙しい=ステータスシンボル、ないしは金持ちの証拠、みたいな悪しき(?)風潮がはびこっているようで、のんびりと休養をとるべき休日でさえなにかをせかせかとせずにはいられない、ゴロゴロするのは罪とばかりにますます忙しい状態へ追いこんでゆく精神状態。ダイヤル式電話(!, 横文字ではrotary phone)でダイヤルをまわしているあいだもイライラしてしまう方、ご用心、それはりっぱな病気です! みずからこの「悪循環」ないしは'crazy busy'の「暗黒面」に落ちてしまった精神科医の先生が、自分の体験にもとづいて書いた本の紹介もあります…たしかにつまんないことであくせくしている身としては、この手の本になんだか興味をひかれないでもない。とりあえず「買い物かご」にでも入れておきますか。とはいえ自分は生来の怠け者ゆえ、crazy busyness ということはたぶんなさそう。反対に懐のほうはいっつもピーピー言ってますが(失笑)。

3). BBC Radio3のイースター特番いろいろ。とりあえず聖金曜日にオンエアされたバッハの「ヨハネ受難曲」と、きのうのChoral Evensong を聴きました。後者のほうはキングズカレッジ礼拝堂聖歌隊でして、S.S. ウェズリーの名曲をアンセムとして歌ってました。中間部の、ボーイソプラノのソロが絶品! 'Love one another...' これってかつてアンソニー・ウェイが出演したドラマ(The Choir)で歌っていたものです(ちなみにこれの出典は新約聖書「ペトロの手紙 一」1:22から)。歌い手がちがうとまた新鮮に聴こえていいですね。キングズのソリストの声はアンソニーにくらべると、すこし大人びた声質と歌い方でした(逆に言えばアンソニーのほうがやや幼い感じ。アンソニー…といえば、先日VoAの投稿を見たら、なんとピーターバラで今月26日にライヴをやるという!! …そしてさらに、インディーズ系アーティスト宣伝の場と化しているこちらにも店開きしているというからさらにaghast! …シンガーソングライターみたいなことやってんのかな??)。

4). 先週の「バロックの森」。水曜日の特集「ヴィヴァルディと18世紀フランスの音楽」がおもしろかった。そうそう、ミシェル・コレットという人はあの「四季」そのまんまの声楽ヴァージョン、「主をたたえよ」を作ってましたね! たしか前にもこの番組で聴いたことあるけれど、器楽合奏ならぬ人の声のアンサンブルで歌われる「四季」も意外性があって新鮮でおもしろいです。そして笑えるのがモンドンヴィルという人。自分の名前で出版してもだれも見向きもしないから、ヴィヴァルディもどきの作品を書いて、あろうことか「これは大作曲家ヴィヴァルディの書いた作品集です」という感じでなんとヴィヴァルディの名を騙って自分の曲集を出してしまった、ある意味すごい人です

 …「気まクラ」、こんどのお相手も鈴木さんですか…。

 …そして最後にこちら。へぇ〜っ、そうなんですか! 英語圏のblogをハナ差で押さえるなんて、日本語圏もすごいなと感心すべきか。そう言っているわたしもまたしてもこんなとりとめもないことばっか書いてお茶を濁してしまった。

 花粉症、ようやく治ってきました…。

posted by Curragh at 23:17| Comment(5) | TrackBack(1) | 最近のニュースから

2007年03月03日

ついにBBCもetc.

1). 夕刊のちいさな記事を見てびっくり。WarnerにつづいてこんどはBBCですか。よっぽどYouTubeのユーザー数の多さが魅力的なんですね、きっと。Warnerのときにもおんなじこと書いたけれども、たしかに本来は自前のコンテンツを投稿・公開すべきサイトなのに、けっこうな数の「違法」コンテンツが投稿されているのも事実です。違法ではあるが、YouTube側では「一度に転送できるファイルサイズは100MBまで、コンテンツの長さは10分以内」という制限つきにしているし、たとえば過去の、それも海外の番組となると見られるのはここだけ…というのもまた事実。そのへんのところをどうするのか。従来だと権利者側がサイトに削除依頼して、サイトが権利者の代わりに「利用規約違反」として当のユーザーに削除するよう求める、悪くすれば訴えられる、というパターンがふつうだったのですが、Warnerのことがあってから、あきらかに風向きが変わってきたような気がします。

 今回もたぶんWarnerとおんなじような方法でBBC側はYouTubeユーザー層を取り込もう、とするのでしょうけれども…そしてもっと驚いたのはNHKのニュースでこの話を取り上げたのを見たとき。なんとBBCは「BBCブランドを傷つけるよう意図的に編集されたりした場合をのぞき、すでに掲載された番組は削除を求めない」という!! 「商売に走っている」という批判も受けているようですが、利用者側から見ると、国際放送局BBCの制作した番組が事実上無料で試聴できるのはすごいこと。BBCは自前のサイトもひじょうに充実していてそれだけでも進んでいるなぁと感心していたんですが、まさかYouTubeと契約するとは思ってもみませんでした。これからはいままで違法扱いされていたコンテンツについてもここに堂々とリンクを貼ったり紹介したりできますねるんるん(BBC関連ではLiberaをはじめ、過去・現在のいろいろな番組がすでにYouTubeサイトに多数存在しています。そういえば『オーメン2』でダミアン役やってた俳優さんなんか、その後もいくつかBBCのTVドラマに出ていたなんてこともYouTubeではじめて知ったりしました)。

 自分はなにも違法コンテンツの投稿を手放しで認めているわけではありません。そうは言っても、従来の「手当たりしだいに潰す」やり方では限界がある。もっとこういう形で「共存共栄」したほうがいいのではないかと…著作権保護も大切だと思うが、たとえば書籍の世界で起きている「著作権保護を50年から70年へ延長すべき」という主張には賛成しかねる。だいいち「すぐれた作品・名作を産み出すこと」と著作権延長とはそもそも関係ないはず。なんでも欧米に足並みそろえなくてもいいのでは。いずれにしてもことが権利関係、利害関係になると話はややこしくなるものです…。

2). 高知大学の岡村眞教授のグループが、池や沼の堆積物の綿密な分析の結果、東海・東南海・南海地震が同時に起こる周期が350年間隔らしい、こんどはその「3つ同時発生型」になるかもしれない…というニュースを見たときには正直背筋が寒くなった。静岡では今年は「宝永噴火から300年」という認識はあっても、そのときその「東海・東南海・南海地震が同時発生した」ことはあんまり話題に上っていない。専門家の警告を待つまでもなく、もしそんなことが起きたら江戸時代では考えられなかった「想定外」の災害がたくさん発生するにちがいありませんし、太平洋一帯が壊滅するのはまず避けられそうにない。大地震の不安のない国にでも移住するしかないのかな…と考えたりもする今日このごろ(海外移住がそんなに生易しくないことは承知していますが)。無感もふくめれば毎日のように地震が起きる国というのは、たとえば英国の人にとっては信じられないことかもしれませんね。向こうではいつだったか、夜、震度4くらいの地震が発生したとき、慌てふためいた住人が外に飛び出した…という話を聞いたことがあります。

3). 考古学(?)関係ではこんなニュースも。せんだってDiscovery Channelでも放映され、NYTimesにも番組評が載ってましたが、あれま、いつぞやの『出エジプト記の真実』のコンビじゃないですか。でも今回にかぎって言えば、どうにも説得力に欠ける。石灰岩でできた「骨壷」みたいな箱というのも…個人的には表面に描かれた模様のほうが気になったりして(笑)。記事にもありましたが、番組制作者側の主張はなんだか「循環論法」のような気が…。すくなくとも記事を見るかぎり、このドキュメンタリー番組を見ようという気は起きませんね。むしろストーンヘンジ近くで見つかったという集落跡とか、バーミヤンの石窟寺院跡から発見され、日本の学者によって賢劫経(けんごうきょう)の最古の写本であると確認された椰子の葉の断片とか、そっちのほうがおおいに気になりますね。

 …NHK-FMの「バロックの森」。木曜の朝にブクステフーデの「われらがイエスの御体」から「胸について」をオンエアしてました。アルトパートをカウンターテナーの米良良一さんが歌ってました…まだ聴いたことのない作品だったから、とても興味深かった。全編ゆったりとしたテンポで歌われ、途中でアルトとバスの二重唱もあって美しかった。でもどうせなら全曲通して聴いてみたかった…気もする。

posted by Curragh at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年01月27日

よもや静岡でも…

 ついこの前北海道・北見市で3人の住民の方がガス漏れによる一酸化炭素中毒で亡くなったばかりだというのに、こんどは静岡、それも駅南口からさほど離れていない住宅地のど真ん中でガス漏れ騒ぎ。ガス漏れを起こしたのがまたしてもおなじ材質の老朽管、しかもこちらのほうがさらに年季が入っていてなんと1960年に敷設されたままのもの! 静岡ガスは住民を一時避難させ、周辺道路を通行止めにした上で亀裂の入った老朽管をあの黄色いポリエチレン管に交換して事なきを得た…とはいえなんか釈然としない。ガス漏れがなければ交換する気さえなかったのではないか。会社サイトもこのとおりで、じつにそっけない。すくなくともいまわかっていることはすべて公表するのが企業としての義務ではないですか。半年ほど前、とあるblogで、関西電力管内で長時間の停電があったことが綴られていたのを目にしたことがありました…それによると、当の関電に問い合わせても「調査中…」一点張りでちっとも埒があかない。では会社サイトにはなにか書いてあるかと思って関電のHPを見てもなーんにも書いてない。企業のサイトというのはこういうときこそ必要な情報を開示し、利用者にわかるように説明すべきだという内容でした。

 そう言われてみればたしかに企業のサイトって「宣伝」ばかり…でも不測の事態発生! となったら、われわれが「ほんとうに知りたい情報」をわかっている分だけでもよいからいちはやく伝えてほしいもの。なんのためにWebサイトをもっているのか。Webという情報発信手段を十全に活用していない証明です。自分たちに不都合なことであってもきちんとWebサイトなり報道機関を通じてなり、公表する企業こそ信用できる。いくらaccessibilityだのWeb2.0だの言ってもこの基本的な一点がおろそかだったら、いくら見栄えがよくてW3C勧告を遵守した造りだろうと、なにやったってダメ、と思うのは自分だけだろうか。食品業界にしてもそう。なんかここにきてやたらと「暴露」が相次いでいるのも、やっぱり「みんなでいっせいに公表したほうがダメージがすくない」とでも思ってるんじゃないのかなどと訝ってしまう。なんとかのひとつ覚えよろしく、compliance、complianceと口で言っているだけでほんとうに実行している企業がいったいいかほどあるのか。不二家もあいかわらずひどい。ガの成虫だの幼虫だの(ということは毛虫??)…あげくの果てにはなんと大腸菌!! ですと(おえッ!)。もうこうなると開いた口がふさがらない。と、かくいう自分もクリスマスのときに不二家のショートケーキを食べながらボジョレの新酒を飲んでいたけれども…これがほんとの「食わせ物」か。

 静岡のガス漏れに話をもどすと、30年前から東海地震が…と言われつづけてきたご当地なのに、いまだに40年以上も前のガス管が「現役」だったというのですからこれはもう驚くほかない。自分の住んでいる地区も昨年春に都市ガスに切り替わったばかりなので(うちはオール電化ですので都市ガスは引いてない)、こうつづくと不安になってくる。一酸化炭素が入っていない天然ガスだから大丈夫、なんてとんでもない。一刻も早く老朽ガス管はすべてポリ管に交換すべきでしょう。はっきり言ってガス会社の慢心、ないしは怠慢ですよ。それと地元紙もガス漏れから2日くらいはいちおう報道してはいたけれど、今日の朝刊からは記事が掲載されなくなった。いくら地元企業にたいしてものが言いにくいからって、「ガス漏れがありました。住民に避難指示がありました、老朽管を撤去してポリ管に交換しました、避難指示解除されました、上からなんらかの圧力がかかってガス管に亀裂が入ったらしい…」ていどでもうおしまい、という姿勢もおおいに疑問あり。企業の情報開示、という点から事故を起こした静ガスのサイトマップを見ても「どのへんに40年以上前に敷設した老朽管があるか」ということが一目でわかる地図はないくせして、こんなページを発見したので思わず失笑してしまった。なに言ってんだと思いますよ。

 北見市では21か所でガス漏れがあらたに見つかったとか…また、惨事を起こしたガス管には金属疲労による亀裂や腐食の形跡はなく、埋設された地盤もろとも「ズレた」らしいとも伝えられています…北見市の場所からしても、もしかしたら数年前より釧路沖でたびたび発生している地震の影響もあるのではないかとも思う。降雪、地盤凍結、地震…という場所でしかも一酸化炭素まで含まれる都市ガスならば、なおのことガス会社(事業譲渡以前は北見市)は赤字だろうとなんであろうと、そこで生活する住民の生命を最優先にした措置をとるべきだったのではないでしょうか(ガスと言えば強制捜査の入ったパロマもひどいな…21年前から知っていたくせにこれですからね…)。

 …というわけで、愚痴って終わってしまった。

posted by Curragh at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年01月16日

津波にもめげずホクレア号出航

  昨年10月、なんでいまごろ…という感じで青土社から刊行されたこちらの本。原本刊行は四半世紀以上も前。先週ぼんやり新聞見ていたら謎が解けました。あのホクレア号、なんと日本に向かっているのですね…。そういうつながりでしたか。

 ホクレア号ってよかれ悪しかれわりとよく知られた「古代船」ですね。船体はグラスファイバー製とはいえ…記事によると、1881年、ハワイ王カラカウアが訪日して以来の日・ハ交流を記念した試みらしい…もちろんコンパスなどいっさい使わず、ポリネシアの伝統航法のみで日本まで帆走。日本到着後は沖縄・熊本など8か所を廻るとか(こっちにも来ないかな…)。

 記事では週末にも出航予定、とあったけれども荒天のため火曜日まで延期、しかもちょうどその週末に千島列島沖でM.8.3の巨大地震が発生、ハワイ沖にも津波注意報が出されるという困ったおまけつき。さいわい今回の地震による津波の影響はなくて、ホクレア号はぶじハワイのカワイハエに入港。火曜の出発にそなえているとのこと。

 帆船なので当然セイルも艤装されていますが、新聞サイトの画像を見ますといわゆるラテンセイル型の縦帆のようです…ということは現代のsailing boatみたいにあるていど風上へ向かってジグザグに進めるのかな? 「ブレンダン」みたいな典型的な横帆(square sails)型古代船ではせいぜいがブロードリーチ、風を直角に受けて進むのが限界でしたが。こちらのほうが帆走性能は高いように見えます。

 …さてホクレアとは関係ないが、週末はこちらの番組の再放映も見てました。子どもたちに北極圏の氷河調査をさせる、というのはいくらなんでもちとやりすぎのような気もしたけれど…。最初、「地球を救いたい!」なんて現代人によくありがちな発想(誤解)を口にしていた子どもたちも、想像を絶する苛烈な北極圏の自然の中で共同生活をつづけるうちに、自然のなかでは人間の存在がいかに小さいものかを体感しつつ、自分たちにいまなにができるかということを考える過程がこまやかに記録されていました。この貴重な体験は今後の人生においてきっと生きるよすがとなるにちがいない…と思いつつも大の寒がりの自分にはとてもムリだなこれは…でもできることから実行するということはとても大切なことですね。環境問題…といえば、かつてウェルデル・ベリーやビル・マッキベンといった炯眼の書き手によるすばらしい本を読んでずいぶんと考えさせられたことをいまさらながらに思い出す。とくにマッキベンの『情報喪失の時代 The Age of Missing Informationは10数年前に書かれたものですが、あらためて著者の卓見には驚かされます。この件については稿を改めてまた書くかもしれない…けれども、未読の方はぜひ読まれることをお勧めします。これは「必読書」だと信じています。

 …と、いまちょこっと「地球ドラマチック」のバックナンバーを見ていたらヴァスコ・ダ・ガマの航海とか、古代ローマの巨大船とか、見逃しているものがけっこう多い!! ストラディヴァリウスの話は再放映されるみたいだから、録画しないと…。昨年では、タイタニックを沈めた巨大氷山の話がひじょうにおもしろかった…なんといっても革舟「ブレンダン」とまったくおんなじ海で氷山と衝突して沈んだタイタニックの話ですからね。氷山が転がって起きる「津波」の貴重な映像にはほんとうにびっくりしました。ブレンダン号もやはりこの「魔の海域」で浮氷群(パックアイス、オホーツク海の流氷はアムール河の氷が吹き流されて着岸しますが、こちらは海水が凍ったもの。氷河から崩落してできた氷山とは別物)に突っ込んで革の船体に穴があいてあわや浸水沈没…しかけたことがあります。このときはさいわいにして浸水箇所を特定でき、しかも補修可能な場所だったため「継ぎ」を当ててしのいだのですが、これがもしティム・セヴェリンの言っているとおり「硬い木造船」だったら一発で沈没したことでしょう。革舟は「船体がたわんで柔軟性が高い」ため、海氷の浮く最悪の海域を乗り切ったと言えます。

 …とはいえしょせん自分はarmchair adventurer にすぎないが…。

posted by Curragh at 03:16| Comment(3) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2007年01月06日

大西洋単独横断の最年少記録更新!

 14歳の英国人少年が大西洋単独横断の最年少記録を更新――という一報を聞いて、すぐ飛びつきました。この手の話には目がないほう(→本人のサイト)。

 こういうbreaking news を見聞きするたび、英国も日本も島国であることには変わりないけれど、海にたいする関心の高さは英国の比ではないのでは、といつも思う。海洋文学にしても――Brendan Voyage のようなじっさいの航海記録から、『ホーンブロワー』シリーズのような文学作品まで、英国(アイルランドもふくめて)の海洋好き・船舶好きは徹底しているように感じます。

 たしか3年前にも英国人少年がおんなじようなルートで単独横断に成功したっけなぁ…と思ってこの快挙を報じるBBCサイトを見たら、今回最年少記録を塗り替えたマイケル少年、セイリングはなんと6歳からはじめたというヴェテラン。大西洋単独横断の最年少記録に挑戦するきっかけは、やはり3年前の快挙に大いに刺激されてのことらしい…今回はべつの船から父親が伴走していたようですが、マイケル少年が自分ひとりの力で大西洋を横断したことには変わりないでしょう。とにかくぶじでなにより…。

 …そういえば日本にもすごい少年セイラーがいました…10年ほど前、太平洋単独横断の最年少記録を作った方ですが、いっとき連絡が取れなくなって自分も大丈夫かな…と心配した記憶があります。このときはなんと55日で太平洋を渡りきって米国サンフランシスコに到着したのだから、いま思えばこっちも負けないくらいの快挙にちがいありません。

 …べつにむりして危険なことに挑戦する必要はありませんが(ティム・セヴェリン自身、かつて革舟「ブレンダン号」で北大西洋を横断したような真似は人にはけっしておすすめしない、とあるインタヴューでこたえています)、こと海とか帆船とかにたいする関心は欧米人のほうが日本人にくらべてだんぜん高い気がする。BBCの報道で、プレスコット英首相代理も「偉大なる英国海事史上に残るすばらしいセイラー」という賛辞を送っているくらいですし(ついでながらsailorではなくsailerと綴るとsailing vesselのこと)。航海つながりでは昨年、ナイノア・トンプソンの考古学的実験航海で有名なカタマランカヌーのホクレア号のことを書いた本が――ちゃんと確認していないからなんともいえないが、原本はおそらくかなり前に刊行されたものでしょう――邦訳刊行されたけれども、この手の本って欧米にくらべて日本ではあんまり受けがよくないんですよね…。もっと読まれてもいいのに、とつい思ってしまうのですが。

 …船つながりではとうとうあの氷川丸まで…今後がやや気がかりではある。

posted by Curragh at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2006年10月23日

いわゆる「痛い」(?)ニュース

1). The Sixth Sense A.I. などで子ども離れした名演技を見せてくれた米俳優のヘイリー・ジョエル・オズメントくん。自分もPay it forward を見て泣いた口なんですが、なんと数か月前に飲酒運転で郵便ポストに衝突、御用となっていた…ということをいまさらながら知った。おまけに大麻所持の容疑も。今月20日、ロスアンジェルスの裁判所から保護観察処分を言い渡されたらしい…う〜んどうしたヘイリー?? たしか一昨年だったか、鈴木杏さんとNHKの「英語でしゃべらナイト」にも出て、「ハーバード大学進学も考えている」とかなんとか、あいかわらずの聡明ぶりを披露してくれていたのに(現在はニューヨーク大学に籍を置いているらしい)…。

 ちなみにHaleyの読み方ですが、来日記者会見のときに本人が「ヘイリー」のごとく発音していたので、ヘイリーかと思われます。

2). 飲酒運転…日本でも大問題ですね。「飲んだら乗るな! 飲むなら乗るな!」というのは子どもだって知っているのに、守れない人のなんと多いことか。とくに公務員関係で悪質な飲酒運転による事故があとをたたないというのに、あきれたことに某県の知事など、定例記者会見で「飲酒運転したからといって即懲戒免職というのはどうか」なんて趣旨のことを言い出すしまつで、ほんと挨拶に困る(どこの知事かはググッてみればすぐに出てきます)。飲酒運転で頭を悩ませているのはなにも日本だけではなくて、ワイン大国イタリア・ドイツ・フランスでもそう。最近、イタリアでは高速道路のSAから酒類販売を禁止する法律を成立させたとか聞きました…いままでお酒を売ってたんですねぇ…。

3). 個人的にちょっとびっくりなのがこちらのデータ。定評あるSymantec社のNortonなんて10位以内にも入っていない?! う〜ん、こっちも個人的にはゆゆしき事態。NOD32とかに乗り換えるかな? Nortonはいま使っているマシンにプリインストールされていたのでそのままずるずると買い換えながら使いつづけてきたのですが…メモリは大食いだしトラブったときなど、一度アンインストールして再インストール、と思ってもそうかんたんに再インストールできない構造だったり…完全削除ツールなんてものまで用意されているという使い勝手の悪さ! もうすこしなんとかならないかと思うこのごろ。

4). …Webのセキュリティ関連としてはこちらの記事も気になるところ。'Your PC is in danger!!', 'Error detected!!'とか、日本語でずばり「あなたのPCは危険にさらされています!!」とか表示するバナー。この手の広告は海外サイトに多く、てっきりセキュリティ関連ソフトウェアの広告だろう、くらいにしか思っていなかったら、なんとそんな生易しい代物ではなくて、詐欺そのものだという。最近はYouTubeなんかでもときおり見かけます――といってもまるで気にしたことなんてなかったけれど――YouTubeで投稿動画をよく見る、という方は注意されたほうがよいと思います、念のため。

 YouTubeがらみではNYTimesなんかも前々から報道していましたが、Googleに買収されましたね。いろいろな記事を見ましたが、ようするに動きの速すぎるIT業界で主導権をとるためには「とりあえず買っておく」ということが常套手段のようです。今回はじめて知ったのですが、YouTubeの創業者3人って、みんなPayPalの社員だったんですね。買収といっても株式交換だから、Google側もあんまり懐は痛まなかったみたいですが、大金持ちになったふたり(ひとりはスタンフォード大学の修士課程に入るため退社しています。ちなみにこの人は旧東独出身→NYTimes関連記事CNETJapanの関連記事)のビデオまで公開されています。よほど笑いが止まらないと見える。

5). 発売時期が来年はじめごろに決まったWindows Vista。発売の遅れの責任を取るということなのかどうか、ビル・ゲイツ会長やスティーヴ・バルマーCEOがボーナスを減額されていた…というのは置いておくとして、問題だと思うのはこちらの記事。折りしもIE7の英語正式版の配布がはじまったみたいですが、記事に出てくるMicrosoft社の人の発言はどうなんだろう。どうも大手セキュリティソフトヴェンダーとおんなじで、大名商売というか、あぐらをかいている。ほんとうにエンドユーザーの立場に立っていない気がする。個人的な感想では、IEよりFirefoxのほうがはるかに使いやすいし、ActiveXコントロールなどの脆弱性もないからセキュリティ的にも堅牢だと思います。はやくもIE7にセキュリティホールか? という話も出てきていますし。構造じたいが欠陥なんじゃないかとさえ思う。

 Macのことは素人ながら、いくらIntelチップになったからといってもそもそもプログラムコードじたいがWindowsとは別物のはずなので、Windowsに感染するマルウェアのたぐいが即Intel Macにも影響をおよぼすとも思えないし、公式サイトに書いてあることを信じれば、WindowsよりMacを使ったほうが安全ということに変わりはない。もっともアンチウィルスソフトは必須ですが、なんとこのご時世になってもまだ対策ソフトも導入せずに常時接続している大胆不敵なWindows(!)ユーザーもいるようで…とにかくおたがいに気をつけましょう。

 …どうでもいいことだがApple社サイトのトップページって…Macintoshパソコンのメーカー、ではなくて完全に「iPod屋さん」のおもむき…最近、「Macじわり復活」との見出しで、Macパソコンの売り上げがじわじわ伸びている、という「朗報」を報じた新聞記事を読んだのですが、銀座の直営店にiPod目当てに来店する若い客層はなんとここがMacマシンを扱うショップだということさえ知らないというのです…どうもMacと聞くと、食べるほうのマックだと思うらしい(苦笑)。さらに驚くのは、そんな若い客層、とくに女性客が、iPodのとなりにずらり並ぶMacマシンを見て気に入り、Windowsマシンから買い換える、そんなケースが急増しているらしい。いずれにせよこれ以上のMicrosoftによる市場寡占はロクなことないと確信しているので、これはいいこと(たしかAppleの日本法人ってオペラシティタワーにあるんですね。隣接するタケミツ・メモリアルではBACをはじめ、演奏会の思い出がいろいろとあります)。

 来年春には次期MacOSX Leopardがリリースされるので、ますます「OS戦争」がおもしろくなりそうです…。

posted by Curragh at 03:12| Comment(3) | TrackBack(0) | 最近のニュースから

2006年10月09日

まとめて雑感

1). せっかくの連休ですが、台風くずれの低気圧が北日本太平洋沿岸沖合いでもたもたしていたせいで、こちらの想像以上に悲惨な海難事故があいつぎ、ことばもありません…とくにショックだったのがサンマ船の事故。貨物船がまっぷたつになったり、伊豆近海では定員超過(?)の疑いのある遊漁船が転覆したり…山でも遭難事故がつづきました…とそんな混乱にまぎれて(?)北朝鮮が地下核実験をした、との一報も飛びこんだり。そういえば先日、国際天文学連合(IAU)が「太陽系第10惑星」を「エリス」と命名しましたね…ギリシャ神話の不和の女神。なんかこれ他意があるんじゃないかと勘繰りたくなるような惑星名でした。とにかくいまは、静岡県で唯一のサンマ船となってしまった安良里漁協所属の漁船がぶじにサンマを積んで帰港することを願うのみ(ちなみにかつてのPlutoは小惑星としてなんと番号に! 「134340」という通し番号になったらしい。ホルストの組曲「惑星」に冥王星を追加した作曲家の方にはなんとも皮肉な結末ですね)。

2). 宇宙つながりで忘れていけないのが火星探査車オポチュニティー。なんと2年半(!!)ものあいだ、せっせと働きつづけていたと知り、まだ現役だったのかとびっくり仰天。こんなに長持ちするとはNASA当局もうれしい誤算だそうで、先日配信された巨大クレーターの鮮明な画像には文字どおり目が釘付けになりました…。これはほんとにすごい。拍手を送りたい(→NASAサイト)。

3). とはいえではそんなすぐれた科学技術もけっきょく使う人間が悪ければとんでもないことになる。あのアーミッシュの学校襲撃事件がそうです…どんな理由であれ無抵抗の子どもに銃口を向けるというのは、西オセチアの学校襲撃事件のときもそうでしたが、悪辣卑劣なテロ行為。許せない。やっぱり米国はあいかわらずの銃社会だということをまたしても見せつけられたような気がする。犠牲者のなかには、みずから名乗り出て年少者をかばった少女もいたと聞きました…でもアーミッシュの人たちはそんなひどい仕打ちをされても「赦す」信仰の持ち主…らしい。なんとこんなひどい仕打ちをした輩の葬式に出席したアーミッシュの住民がいたらしい(→NYtimes電子版の記事)! 自分が当事者だったら…逆襲していたかも。キャンベル先生も、「人が人を裁けるのか?」と問うていたけれど、これはこたえの出ない難問だと思う。こういう理不尽な事件の報に接すると、「犯人を赦すかどうか」うんぬんより、どうしてもマーク・トウェインの論法を取ってしまう…「火に投げ入れるほうが手っ取り早い」。

4). …船、といえば「スカンジナビア」が「沈められて」はやひと月が経過。串本の海上保安署が調査に乗り出した…とか聞きましたが、けっきょくスウェーデンの不動産会社も引き揚げる気はないらしく、またかりにサルベージしても塩水に浸ってもろくなった船体が引き揚げる途中でバラバラになりかねない…など技術的にも困難らしい(→関連ニュース)。ようするにこのまま「魚のアパート」…になってしまうようです…。

posted by Curragh at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから